約 541,617 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2218.html
ここに文字を入力注意書き: 某4コママンガを参考にしています。詳細は文末に示します。 秋も深まり、山々はすっかり紅葉で覆われ、少し肌寒い風が吹き抜けていく。 そんな日々、市場で買い物を終え自宅へ向かう途中のこと、 獣道を歩く僕の前に一匹のゆっくりれいむが立ちはだかった。 高さ40cm余り、横幅は60cmにもなるかなり成長した個体のようだ。 この獣道、普段は殆ど人が通らない場所で、言ってみれば秘密の近道ってとこかな。 「ゆゆ!おにいさん?こっからさきはれいむのおうちだよ! とおるにはゆっくりつうこうりょうをはらっていってね!!!」 「通行料?具体的には何が欲しいのかな?」 「ゆ、ゆーん… れ、れいむにおいしいおはなさんをおいていってね!!!」 「なんだ…花か。ほれよ。」 「ゆゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 相手するのも面倒だったので、僕は買い物袋の中からハーブをれいむに差し出すと、 足早に先へ進もうとした。なぜか右足が重い。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! こ、これだけじゃつうこうりょうがたりないよ!ゆっくりはらっていってね!!!」 なんと右足にれいむがしがみついて来たのだ。 ゆっくりにしては珍しい行動だったので再び問いかける。 「今度は何が欲しいと言うのかね?」 「ゆ!? ゆーん… ゆっくりあまあまのおさとうをちょうだいね!!!」 「なんだ…砂糖か。ほれよ。」 「ゆぐっ…! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「じゃあ僕は先に進むからね。」 僕は買い物袋から角砂糖とカリン糖を十数個差し出し、この場を後にしようとした。 再び右足に荷重がかかる。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! ま、まだつうこうりょうがたりないよ!!!ゆっくりはらっていってね!!!」 いくらゆっくりとは言え欲張りな行動である。 「今度は一体何が欲しいと言うのかな?」 「ゆゆ!? ゆーんゆーん… れいむにゆっくりはちみつさんをちょうだいね!!! もしはちみつさんがないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「蜂蜜か…。ほれよ。」 「ゆゆゆ!?どおじておにいさんはちみつさんなんかもってるの!!!」 「れいむがくれっていったんだろ?」 「ゆぐっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあわぜー!」 「今度こそ僕は先に進むからね。」 再び重くなる左足。何か他に理由があると言うのか…? 「ぞ、ぞごがらざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ま゙、まだまだづうごおりょおがたりないよ!!!ゆっぐじはらっでいっでね!!!」 「欲張りなれいむだね。今度は何が欲しいのかい?」 「ゆがっ・・!?ゆう・・・ゆーん・・・ れ、れいむにゆっくりあまあまなくりーむをちょうだいね!!! もしもっていないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「クリームか…。ほれよ。」 僕は買い物袋の中からコンデンスミルクを取り出すと、れいむの口に注ぎ込んでやった。 甘ければいい。細かいことはわからないだろう。 「ゆがっ!?どぼじでおに゙いざんぐぢーむなんがも゙っでるの!!!」 「れいむがちょうだいっていったんだろ?」 「ゆががっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあ゙わ゙ぜーー!!!」 とは言いつつも両目からぼろぼろと大粒の涙をこぼしている。 気にせず先に進もうとすると 「だ、だべなんだがらね!!!ごのざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 またしても右足にしがみつくれいむ。食べ物が目的じゃないとすると、 この先には相当大事なものでもあるというのか? 「こっち行かないとお兄さんは帰れないんだけどなぁ?」 「ざ、ざぎにずずむならゆっぐじでいぶにづうごおりょおをはらっでいっでね!!!」 「でいぶのお遊びに付き合ってる暇なんか無いんだけどなぁ…。ゆっくりどいていってね!!!」 「ゆがっ!? でいぶにゆっぐじおでんじじゅーずをぢょおだいね!!! ないならゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 「お兄さんのおうちにはオレンジジュースがたくさんあるよ? 通してくれたらでいぶに分けてあげてもいいけど?」 「や、やっぱりだべだよ!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!! ごごがらはでいぶのおうぢだよ!!!ゆっぐじごっぢごな゙いでね!!!」 もう「でいぶ」に構うのも飽きたので、無視して歩みを進める。 すると前方の草むらの中、木の根元の穴から伸びるオレンジ色の塊が姿を現した。 ゆっくりの卵である。 握り拳よりやや小さいゼリー状の塊が蛇のように連なり、見えているだけでも数百は下らない。 恐らくは巣の中で卵を産みつけていたが収まりきらず、外まではみ出したってところだ。 一つ一つの形状は縦に長く昆虫の卵のようでもあり、長く長く連なる様子は蛙のそれを彷彿とさせる。 よく見ると内部に非常に小さいながらもゆっくりらしき姿が見て取れた。 「ははぁー…こういう訳だったのかぁ。」 「やべでね!ゆっぐじやべでね!!!でいぶのかわいいごどもにでをだざないでね!!!」 「ふーん…」 それだけ言うと僕は、卵の群れの一角に塩を振りかけ始めた。 浸透圧により見る見るうちに卵がしぼんでゆく。 「やべでえええええ!!!でいぶのおぢびぢゃんになにずるのおおおおおお!!! ゆっぐじやべでいっでね!!!ゆっぐじやべでえええええええ!!!」 れいむは卵の前に立ちはだかり、塩をこれ以上子供たちに浴びせまいと大きく口を広げた。 「ゆっぎゃあああ!!!でいぶのおめめがっ!いだいよ゙おおおおおおおおお!!! でいぶのおぐぢがぁああああああああ!!!ゆっぐじやべでえええええ!!!」 目や口などの粘膜に塩がかかるたび、れいむは悲痛な叫びを上げた。 体が大きめなだけあってその叫びも一段と大きい。余計に敵を呼び寄せてもおかしくはない。 「ほーら、今度はこっちだ。おいしいお塩をあげるからねー♪」 オレンジ色のゼリーは塩と触れると直ちに縮み始め、こげ茶色の塊へと変貌していく。 「やべで、やべでよおおおおおお!!! でいぶのおぢびちゃんはおじおなんでいだないぼおおおおおお!!!」 れいむは満身創痍ながら卵の前で塩を受けとめようと必死にかけずり回る。 「でいぶのおぐぢが、おぐぢがゆっぐじでぎないよ゙おおぉぉおおおおおお!!! おにいざんはゆっぐじやべでね、ゆっぐじやべでいっでね!!!」 両目から滝のように涙を流しているが、それでも諦めようとはしなかった。 ふと視界に蜂蜜色の物体が飛び込んだ。 近寄ってみると息を荒げるゆっくりありすであった。面白いことを思いついたぞ…! 「ゆふー、ゆふー、れいむのこえがきこえるわ!!!どこなのお? ありずがずっぎりざぜであげるよおおおおおおおお!!!」 「やぁやぁとかいはのありすちゃん。」 「ゆゆ?とかいはのありすはいまいそがしーのよぉ?おにいさんはてみじかによーをすませなさいよ?」 「そのれいむのとこにつれてってあげようとおもってさ。」 「ゆほっ!?べ、べつにありすはれいむのことなんてどおでもいいのよ? でもおにいさんがつれてってくれるっていうならのってあげてもいいわよ?」 ありすは顔を赤らめ涎を垂らしながら答える。その顔、本心がわかりやすく見て取れる。 僕ももちろんそのつもりだ。 ありすを抱きかかえ足早にれいむの元へと向かう。 「ゆっほおおおおおお!?れいむのかわいいたまごがたくさんあるわ!!! みてるだけですっきりしちゃうわあああああ!!!すっきりー♪」 ありすから放たれた乳白色の粘液に卵の一角が覆われていく。 「やべでええええ!!!すきなひとじゃないとあかちゃんのもとかけちゃだべえええええ!!!」 「ありすのためにこんなにたくさんよういしてくれたのね!!! れいむってつんでれねえええええ!!!」 「だべえええええ!!!れいむのだいすきなまりさじゃないとだべええええ!!! ゆっぐじやべでいっでね!ゆっぐじやべでええええええ!!!」 「そのまりさってのは、こいつの事かな?」 「ゆがっ!?ま゙、ま゙、ま゙り゙ざぁあああああぁああああ!!!」 数十分前のことだ。市場を後にし藪森へ歩みを進めようとした頃―― 「こっからはまりさのてりとりーなんだぜ!!!おにいさんはゆっくりあっちへいけだぜ!!!」 「ここをとおらないとお兄さんおうちに帰れないんだけどなあ?」 目の前にこれまた60cmもあろうかという大きなゆっくりまりさが立ちはだかった。 無視して先へ進もうとすると… どかっ! 尻に鈍い痛みが走る。まりさの体当たりだ。 重さも相当なため思わずよろけてしまう。 「まりさのたいあたりなのぜ!これにこりたらゆっくりむこうへいけなのぜ!!!」 まりさは僕の前に回り込んで自慢げに語りだす。 「ほぉおお? 向こうへ行かなかったらどうするのかなぁ?」 「ゆがっ!?と、とにかくこっからはすすませないだぜええええええ!」 まりさが再び体当たりを仕掛けてくる。 一歩横によけてみる。ゆっくりにしては速いがかすりもしない。 案の定まりさの勢いは止まらず向こう側の木に突進し、盛大に全身を打ち付ける。 「ゆがっ…!ゆ・・・ゆぐぅ・・・」 「おーい?いきてるかー?」 まりさは白目を向き天を仰いでいる。もっとも枝葉に覆われ空を拝むことはできないのだが。 「あーあ、見事に伸びちまったなぁ。しゃーない、持って帰ってやるとするか。」 僕は背負っていた篭にまりさを放り込み、その場を後にした。 「ゆ…ゆーん・・・ ゆゆっ!?ここはどこなのぜ?」 「ま、まりさ!?きがついたのね!!! みてみて!!!れいむね、いっぱいおちびちゃんうんだんだよおおおお!!!」 「れ、れいむううううう!!!よくがんばっただぜえええ!!!」 「でもこのありすとそのおにいさんがゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆゆゆ!?ゆっくりできないおにいさんとありすはゆるさないのぜええええ!!!」 まりさは近くにいたありすに体当たりを仕掛ける。 発情ありすとはいえ体格差は歴然であり、放物線を描き地面に叩きつけられる。 「ああああっ!? まりさってとんだえすえむぷれいなんだからぁああああ!?」 程なくして気を失った。 「さっきはよくも、よくもおおおおおお!!! でいぶまでいじべで、ま゙り゙ざぼおゆるざな゙いのぜええええ!ゆっぐじじねええええぇぇええええ!!!」 再びまりさが僕に突進を仕掛ける。僕は手近にあった太い枝を拾い上げると、 一歩左に下がり野球の打者の要領で勢いよく振りぬいた。 「ゆべっ!? ゆびぶべぼばびぶべぼゆびゃぁああぁああああああああああぁぁぁぁ!!?」 真っ二つに裂かれたまりさは壮大な断末魔を上げると、物言わぬ餡子の塊と化した。 「ど、ど…、どぼじでごんな゙ごどずる゙の゙おおぉぉおおおおお!!?」 「いや…、どぼじでって言われてもなぁ…。れいむ達から仕掛けてきたんだろ?僕はそれに応じただけさ。」 「でいぶのおぢびぢゃんがえじでええええええ!!!ばでぃざをがえじでよおおおおおおぉおおおお!!!」 「卵ならまだ全滅しちゃいないだろーよ。」 「すきなひどにあがぢゃんのもどかげでもらわないとうま゙でないよ゙おおおぉおおぉおお!!! ゆっぐじがえじで、ばでぃざをがえじで、でいぶのあがぢゃん、がえじでよぉおおおおぉおおおおお!!!」 「んなこと言われてもなぁ…。」 「ど、どぼじで…、どぼじでな゙の゙ぉぉおおおおぉおおお!!! ばでぃざ・・・、あがぢゃん・・・、がえじで、がえじで… がえじでぇぇええええぇぇ・・・」 その大きな饅頭は、大粒の涙をぼろぼろとこぼし、悲痛と怒りの余り泣き叫んでいた。 溢れる涙は「彼女」の足元に水溜りを作り始めていた。 僕はただ家に帰りたかったがためにやっただけ。 道を邪魔をした挙句そんな剣幕で問い詰められても困るのだ。 絶望に打ちひしがれる「でいぶ」を目の前にして、僕はどうしていいかわからなかった。 「んほっ!?なみだによだれにぐっちょぐちょのれいむもかあいいのよぉおおおおお!!!」 「ゆがっ!?ゆっぐじごっぢにこないでね!ゆっぐじやべでね!!!」 途方に暮れているうちにありすが気を取り戻した。すぐさまれいむに一直線。何という見上げた根性・・・。 塩攻めにされ、愛するまりさを失ったショックを受け、泣き疲れたれいむにもはや策は残されていなかった。 ありすの為すがままになるしかない。 「んっほおおぉおおおぉおおお!ぐっちょぐちょのれいむぎもぢいよおおおおおお!!! あらてのろおしょんなのねえええええええ!!!すっきりー♪」 「やべでぇええええぇええ!ずっぎじー!」 「めをそむけなくていいのよおおおおおおお!!!れいむったらつんでれね!!! すっきりー♪」 「ゆっぐじやべで、ゆっぐじやべでね!!!ずっぎじー!」 「れいむのろおしょん、れいむのろおしょんあまじょっぱくておいしいいいいいいいいいい!!! もっとちょおだい、もっとちょおだいねええええええええええ!!!」 「でいぶおいじぐないぼおおおおおお!!!」 「ひていしなくていいのよ?れいむったらつんでれなんだからああああ!!!すっきりー♪」 「やだぼおおお、やだぼおおおおおおおお!!!すっぎじー!」 「もっと、もっとありすにあいをちょおだいねええええええ!!!」 「ゆっぐじやべでね!ゆっぐじ・・・ゆ・・・ゆっぐ・・・」 この状況を打破してくれたありすには感謝しなければならないのかも知れない。 そんな僕の内を余所に、ありすの勢いは止まることを知らなかった。 「れいむ?ねちゃったのぉおお?とかいはのありすのてくがきもちよすぎたのねええええ! うぶなれいむもかぁいいよぉおおおおおおお!!!」 れいむは気絶か、腹上死でもしたのか、とにかく動かなくなった。 いずれにせよその額からは緑色の突起が数多く現れ始めており、運命は決まったも同然である。 「あら…?たまごがたくさんあるじゃなあああい! ありすのためによおいしておいてくれたのねええええ!!!すっきりー♪ みてるだけですっきりしちゃったわ!!!すっきりー♪ れいむっておませさんなんだからああああああああ!!!すっきりー♪ ゆっほおおおおぉおおおおおおおお……」 この後どうなるかは想像に容易い。 夥しい数の卵を貪るうちにありすは干からび、万が一孵化できたとしても誰が育てると言うのだろうか。 冬が近いこの季節、子供たちだけで生き抜くには絶望的である。 オレンジ色の卵達が徐々に乳白色に染まっていくのを見届けていた僕は、 追われる様にして我が家への道を急いだ---- 終われ その後...塩がかからずにありすの精子餡を受けたたまごたちは、「ゆっくりしていってね!」という声で生まれてきたが、そこには朽ち果てたありすとれいむがいたこの子達がこの後どうなるかは一目瞭然だろう。加工所にみつかり研究され尽くされるか、餓死するか、死ぬのも生ぬるい地獄を虐待鬼威山に見せられるかだろう愛でおにいさんに見つかろうとも、 親のいないゆん生を歩むには難しいだろう ほんとに終わり Ref. 1) 東方アクロバティカより ttp //flat-racing.sakura.ne.jp/oretoumi/hp/touhou44.jpg あとがき 昆虫型と名付けたのは、蛙のように外側が粘膜で覆われていないためです。 交尾してなくても卵生むの? 充分に成長し時期が来たら大量の卵を産みます。 それでいて本体は交尾するとにんっしんしてしまうという破天荒な設定です。 by まりさつむりの人 他に書いたもの ゆっくりいじめ系800-802 まりさつむりの記憶 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりバイブレーション1 アリス×ゆっくり系16 アリスのゆっくり水爆弾 白玉楼×ゆっくり系5 みょんとの出会い ゆっくりいじめ系932 愛しのありす ゆっくりいじめ系1024 嘘つき少女の悲劇 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/301.html
家に帰ったらゆっくりれみりゃがいた。 笑顔で「うー!うー!」と言いながらよってくる。 うるさいので蹴飛ばしたらみぞおちにヒットした。 吹っ飛ばされて部屋の壁に当たる。 こいつは笑顔を崩して「う”-!!う”-!!」と泣き喚く。 赤い目から涙が流れ出て鼻水らしき液体も駄々漏れ。 所々で「ふごっ」と鼻をすする。汚い豚だ。 せっかくのお洋服がぐしょぐしょになってしまった。 ?ぐしょぐしょ?そうか。 俺はいい事を思いついた。次の作業に移るためにれみりゃにやさしく声をかける。 「う”ぁー、うぁぅ・・・」 「よしよしごめんよれみりゃ、痛くなかったかい」 「がぉー!い~たかぁ~ったぞぉ~!」 れみりゃは蛸のようなぐねぐねした腕を精一杯伸ばしてずれた帽子を直す。 上目遣いのれみりゃは顔をぐずつかせてご機嫌斜めのようだ。 「ほんと~に勘違いしてたよ、ごめんな」 そう言ってよしよししてやる。 れみりゃは暫くふてぶてしい表情をしていたが、 やがて俺がもう危害を加え無いと判断したのかご機嫌を取り戻していく。 「うっう~うぁうぁ♪」 不可解な音頭を取り笑顔になるれみりゃを連れて浴室へ。 俺はれみりゃを脱がして服を洗濯機に入れる。 「うぁ~、えっち☆」とぶりっ子のポーズを取るれみりゃ。 殴り殺したくなる所を抑えて風呂でシャワーを浴びさせる。 そこで俺は観察した。 このゆっくりは一体何だろう。 肉まんと呼ぶには人間に限りなく近い。 3頭身程度だが体温も髪質も人並み。 人の言葉を解して拙くとも喋る。 手足は五本指で爪もある。人の犬歯よりやや長い牙を持つ。 何より帽子や服は本当の布でできていた。 誰の差し金で俺の所に来た? そもそもこいつは生物なのか? ゆっくりゃの目は赤く、頭は不自然に大きい。 顔のパーツは上よりになっていて、髪を引っ張ると痛がる。 「ぃたぃ、ぃたぃ、ぅー・・・がぉ!」 牙を向いて腕に噛み付くが全く痛くない。 俺はゆっくりの顎を無理やり残る手で開かせてゆっくりゃの体を洗う。 裸のゆっくりゃは肌色で人間の幼女と変わりない。 生殖器もついでに開いて見ると人間のそれと似ている。 「ゃぁ~だぁ。だめだぉぅ。がお~ぅ・・・」 ゆっくりゃは顔を赤くしてうつむく。 この不相応な大きさの頭を除けばこれは人間の幼女と同じだ。それなら・・・ 仮説『適当なプロセスを選べばいくらでも人間の形に近づけることができるだろう』 俺はこいつのシャワーを終えると一人で良いアイデアがないか考えることにした。 ゆっくりゃは大きな頭をぶるんぶるん振って髪の水気を取ろうとしている。 「がぉー、水きらい!ざぐやぁ!ふげふけ!」 うるさいよこの豚。 俺は睨みを利かせて黙らせた。 リビングで乾いたゆっくりゃに服を着せずに放置しておく。 裸でも良いらしく相変わらずうぁうぁ踊っている。 俺は500ml紙カップ入りのコーヒー牛乳を飲みながら考えた。 あの顔には肉まんの中身が詰まっているのだろう。 噂ではゆっくり種は30%程度の中身を失うと死ぬらしい。 そして中身を他の部位に移し変えれば生きているそうだ。 だとすれば・・・・。 やるべきことが決まってきたので早速準備に取り掛かる。 肉まんを幼女に転生させるのだ。 しかし幼女にすることが目標ではない。 肉まんを審美眼に堪え得る存在に昇華させる事が目的なのだ。 準備品はは家にあるものだけで十分だった。 包丁、おたま、肌色の縫い糸と縫い針、接着剤、新聞紙、プリン、やさい、これが全てだ。 早速実行に移す。ゆっくりゃは退屈してきたのかテディベアのような姿勢で座り込んでいる。 顔からはよだれと涙が垂れており、食欲が湧いている。 「うぅ~、は~らぺ~こだぞぉ!」 俺の視線に気づくと床を叩いて 「さぐや!おやづ!」 とねだる。赤い眼は薄く濁り、ふてぶてしい表情を浮かべている。 俺は用意したプリンを見せる。 「よし、こっちおいで!プリンがあるよ!」 「ぷりん?ぷでぃんがあるの?う~!だべどぅ♪」 笑顔で転がりながらやって来る。 ごろごろしたゆっくりゃを片手で止める。 俺はプリンをすくってこいつの目の前までもっていく。 もう片手にはやさい(キャベツ)を隠しておく。 「あ~ん♪」 「これあげるっ」 隠しておいたキャベツを思いっきりゆっくりゃの口の中に押しこむ。 一瞬「ごぼっ」と音が聞こえ、ゆっくりゃはもがく。 「ん”-------!!!!!!!ん”ん”--------!!!!!」 手足をジタバタさせるゆっくりゃ。 俺は翼を手でもぎ取り、余った顎を包丁で開き、中の肉をお玉で一気にこそぎとる。 キャベツが芯になってやりやすい。 まるでケバブを調理する感覚だ。 キャベツを含んだ口の袋を残して肉といくつか皮を新聞紙の上に取り出す。 頭だけでこいつは40%の肉をもっているだろうから注意する。 「ぐっ!!!ん”ん”ん”!!!!ぶぅー!!!」 今度は胸を切開する。暴れるれみりゃ。 「暴れると余計痛いぞ」 そう言うと鼻息荒くもれみりゃはじっとしようと耐え始めた。 何もない胸にまず切り取った顎の皮を縫い付ける。 皮にゆとりができたのでさっきの肉を接着剤と混ぜて詰め込む。 この作業を二回繰り返して胸を作った。 そこそこ上手くできたのでさらに接着剤で胸のの手術跡を塞ぐ。 次は空きっぱなしだった顎を整形させる。 ゆっくりゃの頭の大きさを直すために頭を思いっきり押さえつける。 切り開かれた顎の下から肉がめきめき出てくる。 ゆっくりゃは前にも増してじたばたする。 「☆★♪!!!!!!!??!?!#$#”$%」 キャベツをそろそろ取り外してやる。 「ぎゃぁ”””””””!!!!ぶでぃんだべずるっふーげふ」 顎が塞がれていないので上手く喋ることができない。 大きな顎と頭のラインを整えるために出てきた肉と余った皮を切り取る。 喉を押さえつけて皮を思いっきり引っ張る。 頭が普通の人間位の大きさになってきたのでまとめて包丁で切除、縫合、接着。 「い”だぁあああああああああああああい”よぉおおおおおおおお!!!!!」 出来上がったゆっくりゃの顔は引っ張って作ったせいか垂れ目で口は鯉のようだ。 全体のシルエットは胸のある幼女といった所。 「ぷでぃんたべる!!!!!!」 幸い言語はちゃんと喋れるようだ。 しかし細かい所まで処置できなかったので所々おかしな箇所があるがそれはどうでもいい。 こうしてゆっくりゃの人間化は一つの節目を迎えた。 残った肉と皮は全体の15%程度で、どうするべきか悩んだが捨てることにした。 「すでないでぇええええええええええ」 ゆっくりゃが泣き付いてきたが食べさせるとまた元通りになりそうだったので無視した。 足元に抱きつきながらずるずる引っ張られるゆっくりゃ。 ああ、かわいい、かわいいよ。 数日後。 ゆっくりゃはそのまま変わった所も無くいつものようにうーうー踊っている。 たとえ形が変わっても精神が変わるには困難を要する。 あれからやさいしか与えていない。もしゆっくりを与えるとすぐに元に戻ってしまうだろう。 仮に与えても口が小さくなったから丸かじりできない。 野生に放すともう捕食すらできないだろう。 「ぶでぃんだべどぅ!やざいいだだい!ざぐや”!!!!う”----------!!!!!」 じたばたするゆっくりゃも毎度の事となった。 俺がこの存在を育てていくのだ。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2446.html
注意 某マンガのパクリあり。 その他いろいろ 【ゆっくり兵団】 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 さて、今森ををのたのたと跳ね回っているのは説明不要の饅頭ナマモノ『ゆっくり』 今日も今日とて親子仲良くあっちへふらふら、こっちへふらふら。 「ゆっくりできるよ!」 「みんなでゆっくりしようね!!!」 無計画にふらつくものだから今どこにいるのかを把握している者はいない。 だが彼女らはそれでよかった。 決まった住処を持たずに食べたいときに食べ、眠りたいときは眠る。 この森には彼女たちに関わろうとする物好きな生物はいない。 「みんな! おかあさんと一緒にゆっくりしようね!」 「まりさはこっちであいしそうなくささんを見つけたよ!」 両親はれいむとまりさ。ごく普通な組み合わせ。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!」 「おいしいよ! もっといっぱい食べるよ!!!」 子ゆっくりは四匹。れいむ二匹に、まりさ二匹。 本当にありふれた配分。 「ゆっくり眠くなってきたよ!」 「ゆっくり眠るよ!!!」 「「「「「「ゆー…」」」」」」 一家そろって夢の中へ。 所変わって、森の外れ 「あのおうちの中にはきっとあまあまも美ゆっくりも沢山いるはずなのぜ!」 「あれはれいむ達の物なのに人間が邪魔するから入れないよ!!!」 「でも今はあの田舎者人間はどっかへ行ったわ! 今のうちにはいるわよ!」 「むきゅ! 人間はずる賢いからきっと罠が仕掛けてあるわ!!!」 「それじゃあ、適当なゆっくりを使って安全を確かめさせるのぜ!」 説明不要のゲス四匹。人間の家を乗っ取ろうと画策中。 多少は頭がよいのだろうか、人間が罠を仕掛けたであろう事を予想した。 そして、その罠を見極めるためのスケープゴートを探しに森へ。 「早速見つけたのぜ!」 「むきゅ! 早速人間の家に入れてみるのよ!」 何の因果か、ゲス達が見つけたのは先ほどの一家。 全員ゆぴーゆぴーと呑気に寝ていた。 「おきろおおぉぉぉ!!! れいむのためにおぎろおおぉぉぉおおお!!!」 ゲスれいむが大声で叫ぶ。 「「「「「「ゆわー!」」」」」」 突然の大声に飛び起きる一家。 「なんなの!? 今の!?」 「ゆっくり出来ないよ!!!」 「ゆっくりしていってよー!!」 不満を口にする一家。 「うるさいのぜ!」 ゲスまりさが叫び、一家を黙らせる。 「いい、よく聞くのよ! あなたたちにはゆっくりあのおうちに入って貰うわ!」 ゲスありすが説明するが、ここはまだ森の中。人間の家は見えない。 とりあえず一家を人間の家の前まで連れて行く。 「ゆー! 大きいね!」 「すごいね! ゆっくり出来そうだね!!!」 「れいむ、あのおうちに入ってみたいよ!」 「まりさも! まりさも!」 大はしゃぎする一家。 「なにこいつら! すごい馬鹿だよ! ぷーくすくす!」 「馬鹿だから都合がいいのぜ! さあ、さっさとまりさ様のおうちに入ってくるのぜ!」 ちゃっかりおうち宣言をしつつ、一家を人間の家に侵入させる。 この家ではゆっくりを飼っているのだろう、 ドアにはご丁寧にゆっくり用の出入り口が取り付けられていた。 「ゆー! ゆっくり出来る大きいおうちだよ!」 「すごいよ! こんなおうち見たことないよ!!!」 今まで狭い洞窟や木の洞を「おうち」としていた一家からすれば、 まさにこの世の楽園のように見えたのだろう。 早速家の中を跳ねて探検を開始する。 テーブルや椅子に飛び乗り、暴れる。 当然、暴れ回った衝撃で家具やら食器やらが落ちる。 テーブルの上に乗っていた皿も床に落ち、皿の上に乗ってた食べ物も落ちる。 「ゆ、これおいしいよ!!!」 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」 「みんなでいっぱいごはんさがそうね!!!」 「「「「「ゆー!」」」」」 こんな調子で家の中を荒らす一家。 ゲス達は一家の様子を見て、この家なら安全だと判断した。 「よーし、まりささま達も突撃するのぜ!」 「むきゅ! 決戦の時よ!」 「都会派は焦らないわ!」 「れいむのおうちに行くよ!!!」 早速家に入り込むゲス四匹。 「まずいぞまずいぞっ!」 「くー」 「寝てる場合じゃないぞっ!」 「へぎょ!」 寝室から居間と台所の惨状を目の当たりにするこの家の飼いゆっくり。 ゆっくりえーきとゆっくりこまち。 寝室で二匹そろってお昼寝をしていたら、ゆっくり達が侵入してきた。 皿の割れる音で目を覚まし、寝室のドアを少しだけずらして様子を伺うと、 ゆっくり数匹が部屋を荒らしていた。それどころか、今度は侵入者の数が増えた。 「このままじゃまたおとーさんに怒られるぞっ!」 「えーきさま、ゆっくりお昼寝させてくださいよぉ…」 「そんなこと行ってる場合じゃないぞっ! 居間と台所をよく見るんだぞっ!」 「全く…えーきさまはもうちょっとゆっくりしたほうg…へぎょおおおお!!!」 こまちもようやく事の重大さを知ったようだ。 「え、え、えーきさま! どうしよう!」 「と、とにかく追い出すんだぞっ!」 ばんっ! 「お前達! 今すぐここから出て行きなさい!」 「そ、そーだ! そーだ!」 出せる勇気の全てを出して出て行かせようと声を張り上げるえーき。 それに続くこまち。 「ゆ! えーきとこまちだよ!!! ゆっくりしていってね!!!」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 思わず反応してしまう二匹。 「! こまち! 反応しちゃだめだぞっ!」 「えーきさまだって反応したじゃないですかぁ…」 「ゆっくりしようね! えーきもこまちも一緒にゆっくりしようね!!」 「みんなでゆっくりすればゆっくりできるよ!!!」 「だめだぞっ! ここはおとーさんとえーきとこまちのおうちだぞっ! 早く帰るんだぞっ!」 「そーだ! そーだ!」 「ゆー! 一緒にゆっくりしようよー!」 「ゆっくりー! ゆっくりー!」 不毛な言い争いをしていたらゲス達が駆けつけてきた。 「うるさいのぜ! お前ら全員まりささまのおうちから出て行くのぜ!」 「むきゅー! もう馬鹿に用は無いわ! 消えなさい!」 「れいむがゆっくりするために馬鹿はみんな死んでね!!!」 「ゆゆゆぅ!? やっぱり飼いゆっくりがいたわ!!! 都会派なありすをすっきりさせてねええぇぇぇぇ!!!」 「ゆあー! れいぱーまで居るなんて聞いてないぞっ!」 「えーきさま! 一旦にげましょう!」 ぽいん、ぽいんと逃げ出す二匹。 廊下に出るも、すぐに追いつかれる。 「ゆっへっへ! まりささまから逃げられると思ってるのぜ!」 ぼいんっ! 「いたいぞっ! ひどいぞ!」 「怠け者のこまちはれいむがゆっくり殺してやるよ!!!」 ぼよんっ! 「へぎょぉぉおおお!!!」 ゲスに嬲られる二匹。 「んほおおおぉぉぉぉ!!!」 「よけるぞっ!」 えーきはありすの体当たりをぎりぎりの所で避けた。 さすがにレイパーに捕まるわけにはいかないという事だろう。 ありすは止まることも出来ずにそのままゲスまりさへ。 「んほおおおぉぉぉぉ!!!」 「こら! アホありすの分際でまりささまとすっきりするなんて ひゃくねん早いのぜ!!」 ぼいんっ! 「いだいわああぁぁぁぁ!!!」 「むきゅきゅ! まりさもありすも馬鹿ね!!! えーきはぱちぇにあっさり殺されるが良いわ!!!」 ぽいん! 「ひどいぞっ!」 「ゆっくりしてないね!」 「みんなゆっくりしようよ!」 物陰からビクビクしながら小さくしゃべる子れいむ、子まりさ。 他のゆっくり達は居間でのんびりくつろいでいた。 ぼよん「れいむに、」ぼよん!「殺されるなんて!」 ぼよん「光栄に思ってね!!!」 「へぎょぎょ…、ゆ、ゆ、ゆぎぎぎ…! ゆがああぁぁぁああああ!!!!」 ぼよん! 無抵抗だったこまちがれいむを跳ね返した。 突然、こまちが叫んだ。早い話がキレた。 ゲス達もあっけにとられた。 「えーきさま! もう我慢できない!!! 『アレ』をつかいますよ!」 「こまち! 落ち着きなさい! 『アレ』を使ったらまたおとーさんに怒られるぞっ!」 「今使わないでいつ使うんですか!?」 「う、しかたないぞっ!」 二匹はそれぞれ壁に仕掛けられた隠しスイッチを押す。 すると、天井がぱかりと開き、丸い物が沢山落ちてきた。 よく見るとそれはゆっくり。しかし普通のゆっくりではない。 全てのゆっくりの目はえぐられ、眼窩には詰め物がされ、 額のあたりに目玉が取り付けられている。 ほとんどが髪の毛がない禿饅頭で、継ぎ目のような奇妙な模様がついている。 「なんなのぜ…?」 「ゆ、ゆぎゃあ"ああ"あア"アああアあ"あぁあ"あアあ"ああ"! あア"あぁア"ああ"アあ"あ! あ"あア"アああアあ"あぁあ!!! ゆぎい"イ"ぃぃぃ"あアあ"あアぁ"ぁァ"ああ"アア"あ" ユ"ギャあ"ああ"あア"アあ"あア"アああアあ"あぁあ!!!」 ゲス達も様子をうかがっていた子れいむ子まりさも皆戦慄した。 この世の物とは思えない恐ろしい悲鳴を上げる禿饅頭達。 しかも禿饅頭達の容姿は恐ろしく醜く、また動きも気持ち悪い。 「「ゆ、ゆ、ゆっくりしいってねー!!!」」 子れいむと子まりさはゆっくり出来ない気がしたが、 いつものようにみんなとゆっくりする時のように挨拶した。 「「「「「「ゆぎぃっ!?」」」」」」 禿饅頭達が一斉に居間の方を向いた。 「ゅっぐりぃ…」 「おどぉざん…」 「いだぃよ"…」 「だずげで…」 「ゆ、ゆ? みんなでゆっくりしようね!」 恐怖心を押さえ、話しかける 「ユ"っぐり…」「ゆッグリ」「ゅっくり"」「ユッグリ…」 「そ、そうだよ! ゆっくりだよ!」 がぶりっ! 「ゆ…」 子まりさが最後に見たのは自分に群がる禿饅頭達の姿だった。 「ゆああああぁぁぁぁ!!!! まりさ! まりさーーーーー!!!」 「ゅぎゃあ"ああ"アあア"ああ"あア"!!!」 子れいむは子まりさが殺され、パニックに陥り、居間に居る両親の元へ 禿饅頭達もそれを追う。 「ゆわあああああ!!!! なんなのあれえええええ!!!」 「ゆっくりしていってよー!!!」 「いやああああ!!! れいむをたべないでえええええ!!!」 数十匹にたかられたゆっくり一家はあっという間に全滅した。 「に、にげるのぜええええええ!!!」 「れれれれれ、れいむもにげるよおおおぉぉぉぉ!!!」 「こんなのどかいはじゃないいいいぃぃぃ!!!」 「むぎゅーーーーー!!!」 玄関へ向かうゲス達。 「一匹たりとも逃がさんぞ!!! 覚悟しろ!!!」 玄関のゆっくり用出入り口には恐怖で泡を吹いて気絶したえーきと 鬼の形相でゲス達を睨み付けるこまち。 「れいむに勝てると思ってるの? 馬鹿なの? 死ぬの?」 「むきゅー! れいむ! さっさと馬鹿こまちを殺してね!!!」 「田舎者はさっさと死になさい!!!」 まりさだけ、黙ってその場から離れた。 「ゆー! れいむの体当たりでゆっくりしね!」 「うるさいっ!!!」 ぼよんっ! ぶち切れたこまちの体当たりはれいむを逆に吹き飛ばし、 「いだいいいいぃぃぃ!!! どぼじでごんなごとするのおおおお!!!」 れいむは泣き出した。 その声に反応したのは居間でゆっくり一家を喰い殺し、 奇声を上げながら彷徨う禿饅頭達。 「ゅぎゃあ"ああ"アあア"ああ"あア"!!!」 「でたあああああああ!!!」 「むぎゅうううぅぅぅ!!!」 「さっさとどきなざいごのいながぼのおおおぉぉおぉ!!!」 パニックを起こすゲス達。 こまちの下へも禿饅頭が押し寄せる。 「うわあああああああ!!!」 こまちは禿饅頭を真正面から見てしまった。 何度見てもおぞましいその姿にこまちは意識を手放した。 「な、なんだよこれ…」 帰宅した飼い主が見たのは野良であろうゆっくりの飾りの残骸に、 そこら中を奇声を上げながら蠢く禿饅頭。二匹仲良く泡を吹いて気絶しているえーきとこまち。 そして荒らされた我が家。 「はぁ」 ため息をつき、胸ポケットからリモコンを取り出し、スイッチを押す。 「ゅぎゃあ"ああ"アあア"……………」 禿饅頭達はおとなしくなり、皆そろって玄関から外へ。 そして家の脇にある小屋へ。 「起きろ馬鹿たれ共」 ぺしぺしと二匹をたたいて起こす。 「ぅーん、まだ眠いんだぞっ…」 「お昼寝中だったのにぃ…」 寝惚ける二匹。 「ほぅ、それはともかく有様を説明して貰おうか! あれほど使うなって言ってた『実験体』まで使いやがって…」 「「ゆっ!?」」 二匹そろって素っ頓狂な反応をする。 「こ、これは…!!!」 必死に言い訳する二匹。 昼寝をしていたら野良共が侵入してきた。 応戦したが、勝ち目がなかったので『実験体』を解き放った。 しかし、怖くて気絶してしまった。 「ふむ…」 ビクビク震えて『お仕置き』に恐怖する二匹。 「まぁ、二匹とも無事でよかった」 二匹の頭を撫でてやる。ほっとする二匹。 「でも、これ片付けないとなぁ…」 家は散らかったまま。 「ふぅ、何とか片付いたな」 二匹の協力もあり、割と早めに作業が終了した。 「…二匹足りないな、まぁいいか。どうせ二・三日で死ぬし」 リモコンの液晶を見てつぶやく。 「ごめんなさい、おとーさん」 「あたい達が『実験体』勝手に使っちゃったから…」 「ほら、たいした問題じゃないんだ元気出せよ!」 「あ、寝室忘れてた」 やれやれと言いながら寝室へ。 がちゃ 「ゆぎっ! だ、誰なのぜ!!!」 「ゆ"っ!ゆ"っ!ゆ"っ!」 ベッドの上でガタガタ震える白黒饅頭とベッドの脇で痙攣する紅白饅頭。 「あっ! おとーさん! こいつらだぞっ!」 「悪い野良だよ!!!」 「へぇ、生き残りがいたか。良かった良かった」 言葉とは裏腹に青筋を立て怒り心頭の様子。 「お、おとーさん…」 「…お前達は二階で休んでろ」 スタコラサッサと二階に逃げる二匹。 「ま、待つんだぜ! そとは恐い奴らがいっぱいいるのぜ! おじさん、そいつらをやっつけて欲しいのぜ!!! それができたら特別にまりさと一緒にゆっくりしてもいいのぜ!!」 「ゆ"っ!ゆ"っ!ゆ"っ!」 「ふむ、とりあえず死にかけを治すか…」 餅とオレンジジュースを持って来て、死にかけて不気味に痙攣する饅頭を修復し、 オレンジジュースをかける。 「ゆ"ぃい"いぃぃ"」 低くうめき声を上げる紅白饅頭。 「まりさもあまあまさんが欲しいのぜ!」 「…」 「おじさん! よく聞くのぜ!! まりささまは強くてかわいいのぜ!! そんなまりさとゆっくりしたかったらさっさと言うことを聞くのぜ!!」 すっ 「ゆっ?」 ばちいいいぃぃぃん!!! 「いぢゃいいいいいぃぃぃぃ!!! なにするのぜええぇぇぇぇ!!! あやまるのぜええぇぇぇぇぇ!!!」 「…」 ばちいいいぃぃぃん!!! 「ゆぎゅううううぅうぅぅぅ!!!」 「…」 「いぢゃい! まりさのほっべさんがいぢゃいいいいぃぃぃ!!!」 両頬を遠慮無く引っぱたいた。 それだけであるが、ゆっくりとの喧嘩くらいしかしたことの無いまりさには この苦痛は耐えられる範疇を明らかに超えていた。 「黙れ」 しかし、男はそんな事情などどうでも良かった。 「さっきから『のぜのぜ』うるせーんだよ! このゴミ饅頭!!!」 びたああぁぁん!! 「ゅ、ゆぎぃぃぃぃいい!!」 「よくもまぁ、人の家荒らしてくれたなぁ、この糞饅頭!!! しかも俺のペットにまで舐めた真似してくれやがって!」 「そんなのしらないぃぃ!! まりさはえーきとこまちですっきりーしようとしただけなのぜ! おじさんのぺっとなんてしらないのぜええぇぇぇ!!!」 「その二匹が俺のペットだ! この糞饅頭がああぁぁぁ!!!」 ぶにゅっ! 「ふぎいいぃぃ!!! ふばないでえぇぇぇ!!! いだい! いだいよおおぉぉぉ!!!」 「さぁて、逃げた実験体の代わりになって貰うぜぇ…」 ぶにゅっ! 「いだいぃぃ!!!」 ぶにゅっ! 「やめでええぇぇぇ!!!」 ぶにゅっ! 「どおじでこんなごどするのおぉぉぉ!!!」 ぶにゅっ! 「もおやだ! お"う"ちかえ"る"ううぅぅぅ!!!」 何度も踏みつけられすっかり球体から文字通りの潰れ饅頭になったまりさ。 逃げるために跳ねようとしても、潰れた体ではのろのろと這いずるのが関の山。 そして、男がそれを許す理由もない。 むんず 「い"やあ"ああ"ぁぁぁ!!! はなじでえ"えぇぇ"ぇ!!!」 パァン! 「ゆ"ぎい"いい"ぃぃ"ぃ」 パァン! 「ゆ"ぎゃあ"ああ"ぁぁ"」 パァン! 「だずげで! だれがだずげでぇぇぇ!!!」 往復ビンタである。男はまりさの饅頭ボディに亀裂が入らない程度の力で叩くが、 一撃一撃がゆっくりにとっては致命傷になりかねない攻撃。 まりさが悲鳴を上げることも出来なくなった頃になってようやく解放された。 「さて、もう一匹の方が目ぇ覚ます頃だな」 男は透明な箱にまりさを放り込み、すでに意識を取り戻したれいむの下へ。 「こないでえぇぇぇ!!! れ"いむ"じにたぐないいいぃぃ!!!」 ズンッ! 「ほごおおぉぉぉ!!!」 男の蹴りはれいむの口に刺さり、歯を全てへし折った。 「おや、全部折れたか。」 男はやれやれと言いながら、れいむの口を無理矢理限界まで広げた。 めりめりめりっ! 「……!!!」 音を立て、裂けるれいむの口。 「ゆ…ぁ…あ…」 涙を流し、苦痛と悔しさを訴えるが、男にはどうでも良いこと。 「おーい! えーきとこまちー! インプラント二個持ってきてくれー!」 呼ばれた二匹はすぐさまやってきた。 「持ってきたぞっ!」 「もってきたよー!」 「お礼はちうでよいぞっ!」 唇を突き出し、目をきっちり閉じるえーき。 男は無言でこまちを持ち上げ、 ぴと 「んちゅうぅぅう…」 えーきは唇に何かが触れた途端にそれに思い切り吸い付く。 (ん、なんか変だぞっ! おくちがせまいぞっ!) 「へぎょ! えーきさま大胆ですよぉ…」 「ん? なぜにこまちいぃぃ!」 えーきとキスしたのはこまちのあにゃる。 「こまちのケツにキスしなってとこだな!!!さ、上に戻った戻った」 こまちが妖しい趣味に目覚める前に二匹を二階に追いやる。 「よいしょ、と」 二匹に持ってこさせたのは入れ歯。それをまずれいむに取り付ける。 ずぶっ! 「んぎいいいぃぃぃぃ!!!」 人間のそれとは違い、歯肉に当たる部分に返しのついた金属棒を思い切り突き刺す仕組みになっている。 そのため、入れ歯の取り付けには激痛が伴い、また取り付けたら最後、自力での取り外しは不可能。 「さて、と」 男は目一杯開かれ、裂けてしまったれいむの口を閉じる。 「ゆ……あ……が…が…」 れいむはか細い声で苦痛を訴えるが男は気にせず、口を閉じさせ、 裂けた部分を餅で修復し、オレンジジュースをかけた。 「……ゆ"っ!……ゆ"っ!……ゆ"っ!」 極度の苦痛で痙攣を始めたれいむを放置し、まりさに向かう。 「いやぁぁぁ! ごないでええぇぇぇ!!!」 悲鳴を上げる程度には回復したまりさ。 「ふぅ、もうこんな時間か…」 「おとーさん! おなかすいたぞっ!」 「ご飯食べておねむしたいよ…」 「おう、悪い悪い。すぐ用意するから待ってくれ。」 「わかったぞっ!」 「くー…」 早速うたた寝を始めたこまちを抱き上げ、えーきを伴い部屋を出る。 残された饅頭二匹はグズグズとべそをかきながらそれを見送った。 一ヶ月後 「のぜええぇぇぇ!! えええええええ!!!」 「ゆぎゃああぁぁぁ!! ああぁぁああああぁぁ!!!」 「オラァ! もっと声ださんか! クズどもが!!!」 度重なる虐待は二匹の体も精神も破壊し、その度にオレンジジュースと 怪しげな薬によって強制的に回復させられる。 薬の副作用により、頭髪はすべて抜け落ち奇妙な文様が浮かび上がる。 絶えず二匹には激痛が走り、最近では言語能力も失われ、 叫び声以外のしゃべり方を忘れてしまっていた。 顔には恐怖と絶望が刻まれ、常に恐ろしい形相を浮かび上がらせている。 「ふぅ、そろそろ最終段階だな…」 叫び続ける二匹を防音機能付きの透明な箱にしまい、つぶやく。 「こまち、えーき」 呼ばれた二匹はぽよん、ぽよんと跳ねよる。 「目玉を持ってきてくれ」 「よいぞっ!」 「わかったよ!」 二匹は男の部屋から文字通り「目玉」を持ってきた。 「よし、いい子だ。お前たちもよく見ておけ。これがゲスの末路だ」 男は透明な箱から二匹の禿饅頭を取り出し、床におく。 「よし、お前らよく聞け。今から、まりさとれいむというゆっくりは消えて無くなる。」 二匹の禿饅頭はびくんと震えた。 「どうせもうお別れだから教えてやるよ。初日に見た禿饅頭どもを覚えているか? あれな、実は元ゆっくりなんだよ。 お前たちのように体も心も破壊し尽くされて、あんな姿になったんだ。 わかるか? お前たちもこれから、目玉をえぐられて、この目玉を突っ込まれると あの禿饅頭たちに本格的に仲間入りするんだ」 「の、の、のぜええぇぇぇえええぇぇええええ!!!」 「ゆぎゃああぁぁあぁぁうああああぁああ!!!」 初日に見たあの醜い禿饅頭の仲間入りをすると言うことを伝えられ、慟哭する二匹。 残ってはいるが虐待と薬の副作用でほとんど見えなくなってしまった目からおびただしい量の涙を流す。 「さて、それじゃあ、『処置』をしちまうか」 ナイフを手に取り、禿饅頭を押さえる。 ぐちゅ、と音を立てナイフが目に吸い込まれた。 「の、のぜえエ"ぇェ"ェえ"えエ"エぇ"ぇぇ"!!! え"ぇ"ぇえエえ"ぇ"ェ"」 ずっちゃっ、くちゃ、くちゃ…… 二匹ともナイフで目玉を原型をとどめいないほどに滅多刺しにされた。 「うん、よく混ざった。後はこれにふたをして…と」 男はてきぱきと水溶き小麦粉で蓋して患部にオレンジジュースをかける。 水溶き小麦粉が違和感なくなじむと、今度は額の部分にナイフで切れ込みを入れ、 まりさだった禿饅頭にS-118と食紅で刻印を彫り、れいむだった禿饅頭にはS-119と刻印を彫った。 「……さて、これで本格的にお別れだ。さようなら。まりさ、れいむ。 こんにちは実験体ナンバー118号、119号」 「よし、動作確認完了…と」 「お、おとーさん!」 「ん、どうした? いや、聞かなくてもわかってる。最近構ってやれなかったからな。 ちょうど『実験体』の抜けを補充できたことだし、明日はゆーえんちにでも連れて行ってやるよ。」 ぱぁっと表情が明るくなる二匹。 「せっかくだから抱っこしてほしいぞっ!」 「ああ、わかったわかった。」 男は二匹を抱き上げ、部屋を後にする。 えーきとこまちの頭にはシルバーバッヂ。 そして人間で言うところのうなじの部分にはC-011とC-012の刻印が施されていた。 終わり 言い訳タイム なんだこれ →ハガ○ン22巻で登場した『死をも恐れぬ軍団』を見て思いつきました。 あまりにもインパクトがあったのでつい ○○がおかしい →いつものことです。気にしないでください。 「へぎょ」って何? →某エロ本で小町が風○に行ったときに発した言葉 おまけ 「主任、『ゆっくり兵団』の指揮官型ゆっくりについてなんですが…」 「なんだ?」 「戦闘能力を付加するか強度の強化をすべきではないでしょうか。 と言いますのも、この間の実験でゆっくりの群れに派遣しましたところ、 兵士型はほとんど無傷でしたが、指揮官型は片方大けがを負っていました。 ご存じの通り指揮官型が死ねば兵士型の統制がとれなくなって回収が困難になります。 今は二匹同時に任務に向かわせることで指揮官型の全滅を押さえていますが、 これはコスト的に問題があると思いますし…」 「なるほど、君の言うことは一理あるな。指揮官型の耐久性強化だけ採用しよう。 二匹一組型は変えないつもりだがね。」 現在、とある団体で『ゆっくり兵団』を開発している。 ゆっくり兵団は指揮官型ゆっくり数匹と兵士型ゆっくり数十匹で構成され、 主に森や山に住み着いたゆっくりの群れの駆除を行う。 指揮官型と兵士型の特徴は以下のとおりである。 ○指揮官型 シルバーバッヂ以上のランクのゆっくりが使われる 兵士型用のコントローラが内蔵され、意識するだけで兵士型を操れる 兵士型の醜い容姿に耐えられるよう訓練されている ○兵士型 主に野良や人間の住居に侵入した物や飼いゆっくりに被害を与えたものが使用される 虐待のプロフェッショナルにより心身ともに破壊し尽くされ、醜い容姿となっている 目玉型制御装置を内蔵し、外部コントローラや指揮官型に搭載されたコントローラにて制御される 常軌を逸した醜い姿で、見たゆっくりは大抵「足がすくんだ」状態となる シルバーバッヂ以上のバッヂをつけたゆっくりには害をなさないよう制御されている 歯にゆっくり消化酵素を仕込んだインプラントが採用され、 噛まれたゆっくりはたとえその場を逃れても、翌日には酵素に消化されてぐずぐずに溶ける 開発者達によれば、実験は行っていないものの、 ドスまりささえも駆除できるであろうと想定している。 これによりローリスクで手間いらずなゆっくり駆除を目指すとのこと。 主任はつぶやいた。 「……製品化に向けてそろそろ虐待マニアの確保とか急がないとなー」 今まで書いたSS? ドスまりさとゆうか1~3 ゆっくり闘技場(性)1 不幸なきめぇ丸 名物餡玉 行列の出来るゆっくり スカウトマンゆかりん前・後 ファイティング親子とゆっくり まりさの商売 ぱちゅりーの失敗1~4 盲点 進化 ぶっかけ!ぱちゅりー! 短い話しを一つだけ ありふれた話 対決!ドスまりさ! 被虐のみょん_その一 とあるきめぇ丸の一日 おさんぽバターみょん さなえに首ったけ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1256.html
制裁ものじゃないと罪悪感を感じる方は注意 ある日の昼下がり、ゆっくりれいむは博麗神社の縁側でお昼寝をしていた。このゆっくりれいむは以前神社の中のおせんべいを 勝手に食べてしまって、巫女である博麗霊夢に叱られ、追い出されそうになったゆっくりであった。 その際にゆっくりれいむが行く当てもなかったところを見かねた霊夢によって飼われることとなった。 今では神社の中でゆっくりする居候またはペットとなっている。 「れいむ~。おやつよ~」 「すぐにゆっくりいくね!!おやつ♪おやつ♪」 今ではおやつを一緒に食べる。 「れいむ、こっちにいらっしゃい。一緒に食べよう。」 霊夢がれいむを膝の上に招く。 「ゆっくりできるね♪れいむのおひざやわらかくてきもちいい♪」 縁側で霊夢はれいむを膝の上に乗せて、おやつを食べることにした。日向でお昼寝をしていたれいむはほかほかと日の光を吸収して暖かい。 このゆたんぽのような暖かさが心地よい。ちなみに夏には冷やして冷やし饅頭になるので、これがまた気持ち良い。 「ほら、こぼしそうになっているわよ。しょうがないわね。」 そういう霊夢は普段他者と接する時と違って柔らかい物言いだった。 「ゆぅ?れいむ、ありがとね!!ゆっくりたべさせてね!!」 れいむは食べるときにこぼしてしまうので、霊夢が手をそえてゆっくり食べさせてあげるのだ。 最初は掃除の手間を省くためにこうしたのだが、今ではこの位置が一番しっくり来た。 霊夢にとってはれいむの暖かさと柔らかさを感じることができ、安らかな気持ちになれる。 そう、ゆっくりできるのだ。霊夢は元々面倒くさがりなところがあり、暇さえあればお茶を飲んでいた。 暇な時間を一人で満喫することは確かに味わい深い。しかし、れいむが来てからは、 だれかと一緒にゆっくりすることをより楽しめるようになっていた。 今では毎日のお茶の時間が本当に楽しみである。 「れいむ、れいむ、おやつありがとね!!おれいするね♪」 そう言うとれいむは縁側で霊夢を招いた。そうすると霊夢が寝転がる。れいむは霊夢の枕になった。 「あ~、ふわっとしてあったかい。れいむ、気持ちいいわよ。ありがとね。」 そういうとれいむは満足げな表情をした。それはどこかふてぶてしくて偉そうだ。 けれども霊夢はそんなれいむをみてほほえましく思った。すこし背伸びがしたい、 かまってほしいと思っている妹がいるとこんな感じなのかと思った。 そうすると、友人の霧雨 魔理沙が尋ねてきた。何でも異変の兆候があるらしい。霊夢は身支度を整えると、 「これから出かけてくるからね。おみやげもってくるからいい子にしてまっているのよ。」 「うん!ゆっくりいってらっしゃい!!」 れいむは満面の笑みで霊夢を見送った。本当はもっと霊夢と一緒にゆっくりしたかったが、 異変解決が巫女の仕事なのだから仕方がない。れいむは仕事で疲れた霊夢が帰ってきたときに たくさんゆっくりしてもらうためお手伝いをしようと思った。口を使ってちりとりをくわえ、器用に掃除をしている。 霊夢が帰ってきたときにほめてもらいたい。なでてもらいたい。れいむは霊夢の事が大好きだった。 そのとき、 神社の上空より鳥がれいむ目掛けて急降下した。れいむは鈍重な動きと警戒心の少なさから、以前より目をつけられていた。 そして巫女がいないところを狙われたというわけである。 あっというまにれいむは鳥に捕まえられ、空高くに連れ去られることとなった。 「ゆぅ?おそらをとんでる!!たかい♪たかい♪」 れいむはまだ現在の状況を把握していないようだった。 霊夢の愛情に守られていたれいむには、これからどのような地獄が待っているのかまったく理解ができていなかった。 だんだん神社が遠ざかってくる。さすがにおかしいと感じたのか、れいむは 「ゆっくりれいむのおうちにかえしてね!!れいむのおてつだいおわっていないの!!」 と催促するが、鳥に言葉がわかるわけはない。 しばらく飛んで、れいむは鳥の巣に落とされた。鳥はそのまま次の獲物を求めて飛び去っていく。 れいむの目の前には鳥の雛達がいた。目の前にはぴぃ、ぴぃと雛たちが自分目掛けて擦り寄ってくる。 よちよちとゆっくりしたペースだ。 「ゆっくりしてる~♪」 野生から遠ざかったれいむは自分に向かってくる雛達を何の警戒心もなく近づけてしまった。 雛たちを可愛いと思ってしまっていた。あるものを忘れていたためにこのような愚行を犯してしまった。 野生の法則 弱肉強食 「いたい!いたいよ!とりさんやめて!!」 雛達はれいむのことを食料としてしかみていなかった。抵抗手段を持たないれいむは雛達についばまれていく。 小さなくちばしによるついばみは、ひとつひとつはたいしたことはなかった。しかし大量の雛、 それもとても飢えているので、久しぶりのご馳走にありつこうとみな必死にれいむをついばんでくる。 「ゆっ! ゆ゛う゛う゛うううううっ!!!やだよ!れいむはおいしくないよ!!」 生態系の最下層、動く食料のゆっくりにはあるまじき発言である。くすぐったさといたみとかゆみが同時に襲ってくる。 「れいむたすけてよ!れいむー!!!」 しかし霊夢は助けに来ない。異変解決に向かっているので当然である。 ひなのくちばしがついに中の餡子に届いてしまった。あふれ出す餡子。そしてそこに群がる雛達。 地獄の蹂躙劇がついにクライマックスへと突入しようとしていた。 しかし親鳥がいなかったことが幸いした。れいむは巣から転がり落ちることによって、うまく雛達から逃れることができた。 れいむはまた逃げていた。神社へとたどり着くことを願っていた。 しかし神社がどこにあるのかはわからなかった。 それでもまったく動かなければ餡子におびき寄せられた虫達の餌食となってしまうのである。 先ほどついばまれたところがかゆいと思ったら、蟻がたかっていた。れいむはあまりの気持ち悪さにどうにかしてしまいそうであった。 転がって蟻をふりはらうとすぐに逃げる。しかし蟻達はしつこく追ってくる。 「れいむじにたくないっ、れいむじにたくないよっ!!!ゆっぐりじたいよぉ!!」 れいむはゆっくりできなかった。蟻達は大群をかたどって襲い掛かってくる。一匹でも再び侵入を許せばそれまでだった。 はやく、はやく跳ね、少しでも遠くへと逃げようとした。それがれいむの餡子をこぼし、より多くの蟻をおびき寄せることとなっていた。 「ゔわ゙ああああああん!な゙んでえええええ!!な゙んでづいてぐるのぉぉぉ!!」 れいむは逃げる。 餡子がこぼれる。 逃げる。 こぼれる。 こぼれる。 こぼれる。 ついてくる。 しかしなんという幸運か、目の前には浅い水溜りが道を横切っていた。 れいむは全身全霊の力を使って飛び跳ねた。蟻達は追ってこない。上手く逃げ切ることに成功したのである。 「ここどこ・・・。おうちかえる・・・。れいむにあいたい・・・」 もはやどこが神社か完全にわからなくなっていた。しかし幸運にも目の前には民家、そして畑があった。れいむは民家を尋ねた。 しかし誰もいなかった。何か食べたい。ご飯をもらいたい。れいむはたいりょうのあんこを失っていたため、早く栄養を取る必要があった。 それなのに長い間飼われていたれいむはえさのとり方を忘れてしまっていた。 ふと目の前の畑に目が行った。たくさんの野菜がある。れいむはこれを食べれば傷がふさがるかと思った。 しかしそのとき霊夢の顔が頭に浮かび、以前しつけられたことが思い出される。 「今度からは勝手に人のものをとっちゃだめよ。悪いことなんだから。いい子にしていたら私がごはんをあげるからね。」 霊夢に嫌われたくない。今まで霊夢と過ごしてきた思い出が蘇る。 かまってほしさにいたずらをして怒られたことがあった。 逆に霊夢にいたずらをされたこともあった。頭からダンボールをかぶせられた。すねていたら、 霊夢が謝ってきてその後一日中遊んでもらったことがあった。 一緒に外に遊びに行ったこともあった。霊夢の友達にほっぺたをつねられたことを覚えている。 喧嘩をしたこともあった。あのときは何が原因だったのか覚えていない。れいむは都合の悪いことはすぐに忘れる。 しかし寂しくなって霊夢の布団にもぐりこんでしまったことは覚えている。喧嘩した後なのに霊夢は抱きしめて寝てくれた。 れいむは泣きながら謝った。 ひとりでゆっくりしていても楽しくはない。霊夢といっしょにいたい・・・。 「ゆ"っ・・ゆ"っ・ゅっ・・・・・ゆ"・・・・・ゅっ・・・・・・・・・ゅ゛・・」 体の中の餡子の3分の1がなくなってしまったためか、意識が朦朧としてきた。 目の前の野菜を食べないと決めたことで一気に今までのダメージが押し寄せてきたらしい。 もう動くことさえできない。 蟻達が追いついてきた。別の道を通ったのだろう。れいむの体内へと侵入し餡子をむさぼってくる。 もはや助からないことはれいむにもわかっていた。霊夢には二度度会えないと。 最後にいってらっしゃいと言ったことを後悔した。もっとわがままをいえばよかった。 少しでも霊夢と一緒にいたかった。こういうべきだったのだ・・・ ゆっくりしていってね、と 「今戻ってきたわよれいむ~。どこに行ったの~。おみやげ持ってきたわよ。いっしょにたべよ~。」
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5200.html
本編(未完) 永遠のゆっくり1 永遠のゆっくり2 永遠のゆっくり3(前編) 永遠のゆっくり3(後編) 永遠のゆっくり4 永遠のゆっくり5 永遠のゆっくり6 永遠のゆっくり7 永遠のゆっくり8(前編) 永遠のゆっくり8(後編) 永遠のゆっくり9(前編) 永遠のゆっくり9(後編) 永遠のゆっくり10 永遠のゆっくり11 永遠のゆっくり12 永遠のゆっくり13 永遠のゆっくり14 永遠のゆっくり15 永遠のゆっくり16 永遠のゆっくり17 永遠のゆっくり18 永遠のゆっくり19(前編) 永遠のゆっくり19(後編) 永遠のゆっくり20(前編) 永遠のゆっくり20(後編) 永遠のゆっくり21(前編) 永遠のゆっくり21(後編)
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2894.html
その7より 虐待部屋を出た男と、抱えられたれいむ。 「ゆっくりどこにいくの?」 「隣の部屋さ」 「ゆっ?」 隣の部屋? 一体、隣の部屋に何があるのだろう? 男は隣の部屋の扉の前に行くと、徐に扉を開けて、中に入った。 一緒に隣の部屋に入ったれいむは、その部屋を見て、呆気に取られた。 「ゆゆゆゆゆっ!?」 そこはれいむが虐待以外の時間を過ごしていた、あの二畳半の部屋であった。 床にはブルーシートが敷かれ、部屋の隅にはドッグフードと水の張った桶が置いてある。 そして、部屋の中心には、さっきまでれいむが包まって毛布が無造作に投げ捨てられている。 「れいむ。この部屋は誰の部屋だ?」 男がれいむに問いかける。 「ゆっ……ゆっ……」 れいむには答えられなかった。 間違いなく自分がいた部屋である。しかし、部屋なわけがなかった。 れいむの隣にある虐待部屋、そこにはありすが住んでいたはずなのである。 「れいむ、不思議だろう? なんでありすがいるはずの部屋が、虐待部屋になっているんだと思う? 一体、ありすはどこで生活していたんだろうな?」 「ゆっ……」 「まあ、答える前に次に行くか」 男はそう言うと、れいむの部屋を出て、もう一つの隣部屋に入っていった。 れいむは、その部屋にも見覚えがあった。 「ゆゆっ!! ここは!!」 「覚えているか、感心感心。その通り、この部屋はお前たちが初日に箱の中で眠っていた部屋だ」 2か月半もたってはいるが、れいむは未だこの部屋を覚えていた。 何しろこの部屋は、れいむが初めて過ごした人間の家の部屋であり、恐怖を感じた未知の空間だったからだ。 忘れたくても忘れられなかった。 しかし、やはりおかしい。 ここは本当なら、まりさが住んでいたはずである。 それなのに、机や椅子が置いてあり、棚の中には本が置かれている。 それと引き換え、ドッグフードや水の桶は置いていなかった。 まりさは以前、部屋には何もないと言っていた。 それなのにこの空間といったら、物で溢れているではないか!! 「な、なんで……!?」 ポツリと言葉が出ているれいむ。 もう訳が分からなかった。 まりさとありすはゲスでレイパーだった? でも、れいむの知っているまりさは、ゲスではなかった? 親友のありすは、とても優しかった? れいむの隣の部屋には、まりさとありすが住んでいた? 隣の部屋は、虐待部屋? 隣は、最初にれいむが来た部屋? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? どうなっている? 一体どうなっている? 男は放心しているれいむを抱えて、再び虐待部屋に戻ってきた。 れいむを床に置いて、こっちを見ろと、命令してくる。 虚ろな表情で、男を見るれいむ。 男は、ポケットに手を突っ込むと、ゴソゴソと何かを取り出してきた。 男は取り出してきたそれを、れいむの目の前に掲げた。 「ちょうちょさん?」 れいむは、初めそれが蝶々のように見えた。 しかし、目を凝らして見てみると、無機質なそれは、決して蝶々でないことが理解できた。 蝶々のような何かを見せて、いったいどうするつもりなのだろう? れいむが考えを余所に、男は真っ赤な蝶々を自分の口元に持ってくる。 そして、口を開いた。 『ゆゆっ!! まりさのおよめさんのれいむ!! なんでそんなかおしてるの?』 「!!!」 れいむは、目を見開いた。 突然、どこからか、まりさの声が聞こえてきた。 その声色は、あの優しかったまりさの声その物であった。 れいむは部屋の中を見渡した。 透明な箱の中には、ボコボコにされたゲスまりさが、弱弱しく蹲っている。 こいつが話した訳ではないだろう。 なら、いったいどこから聞こえてきたというのだ? れいむが、忙しなく体を動かしていると、再びまりさの声が聞こえてきた。 『れいむ!! まりさはここだよ!! ゆっくりりかいしてね!!』 声の聞こえる方に目を向ける。 そこにあるのは、真っ赤な蝶々に口を当てた男の姿だった。 まさか、この男が言ったのだろうか? いや、そんなはずはない!! 今のは、明らかに男の声では無かった。 れいむの愛するまりさの声だった。 だったのだが…… 『ゆゆっ!! ゆっくりまりさのことが、わかったみたいだね!! うれしいよ、れいむ!!』 確実だった。 声は男の口元からしっかり聞こえてくる。 れいむは、益々理解が出来ない。 男はその後、蝶々を口元から離すと、手の中で蝶々に何かを施した。 そして、再び口元に持ってくる。 『ありすとれいむは、いつまでもしんゆうよ!!』 「!!!」 次に男の口から飛び出してきたのは、れいむの親友のありすの声。 もう何が何だか分からない。 れいむの餡子脳は、明らかに処理能力の限界を超えていた。 「わからないよ……」 ゆっくりちぇんの様な事を呟くれいむ。 目は虚ろで、焦点が全くあっていない。 男はれいむの態度を見て、ニンマリ微笑むと、口元から蝶々を離し、れいむに顔を近づけた。 「れいむ、一体何が分からないんだ?」 「……」 「まりさとありすが、ゲスのレイパーだった事か? それとも、隣の部屋が、虐待部屋だった事か? もしくは、俺の口から、まりさとありすの声が聞こえたことか?」 「……」 「まあ全部だろうな。今から順に説明していやるよ」 「……」 「まず、お前が初めてここに来た時、出会ったまりさとありすはこの二匹だ」 男はそう言って、透明な箱をバンバン叩く。 その度に、二匹は恐怖に歪んだ表情を見せてくれる。 「さっきのこいつ等の態度と映像で気づいているだろうが、こいつ等はゲスでレイパーだ。あの日、お前が見た二匹は、全部こいつ等の演技だったんだよ。 俺はこいつ等と契約してな。報酬を与える代わりに、俺のやることに付き合えって言ったんだよ。まりさの報酬は、美ゆっくり100匹。ありすは美ゆっくりに整形してやることだ。 ま、契約といっても、守る気なんてサラサラ無かったがね。こいつ等を釣るために口から言った出まかせだ。 ちなみに、整形ってのは、言ってみれば無理やり人工的に綺麗にするような事だ。お前が見たまりさ、美ゆっくりだっただろ? あれは、俺がしてやったんだ。 まあ、俺がしたというより、金を出して専門家にしてもらったというほうが正確なのだがね。元々は十把一絡げのどこにでもいる汚いゲスまりさだったんだぜ。 全く技術の進歩ってのはすごいよな。それとも、体の構造が単純だから、そんなことも出来るのかねえ?」 「……」 「まあ、そんな訳で、こいつ等は手伝ってくれることになったんだ。田舎者のれいむを思いっきり馬鹿にしてやるって言ったら、二匹ともノリノリだったな。 心底ゲスな奴らだね。まあ、俺も他人のことは言えないんだが、ハハハ」 「……」 「で、映像で見た通り、その日こいつ等は虐待をされなかった。虐待されていたのは、お前一匹だけだったんだ。でもお前は全員虐待されたと思っただろ? なぜだ?」 「……」 「なぜなら隣の部屋にいたまりさとありすも、同じく虐待を受けたってお前に言ったもんな。だから、お前は自分だけでなく、二匹も虐待されていると思い込んだ」 「……」 「もう気づいているんじゃないか、れいむ? あの声の正体に?」 「……」 「言ってほしいか、本当の声の主を?」 「……」 「それでは言ってやろう。あの壁越しに聞こえたまりさとありすの声の正体、それはなんと……」 「俺でした〜〜〜!!!!」 「…………」 「あり? 反応が薄いな。もっと愕然とした表情を見せてくれるかと思ったんだが……まあ、良いや、続けよう。お前が壁越しに話していた二匹は、俺がこいつを使ってしていたことだ」 男はそう言って、真っ赤な蝶々をれいむの目の前に掲げてくる。 「これはな、以前香霖堂という店で手に入れた物だ。このようにダイヤルを合わせると、好きな声を出すことが出来るんだ。 『まりさのおよめさんのれいむ!! そんなかなしそうなかおをしないでね!!』 『しんゆうのれいむ!! ありすがすりすりしてあげるわ!! ゆっくりなかないでね!!』とまあ、こんな風にな」 「……」 「何でも外の世界から流れてきた本を参考に、かっぱが制作した物らしい。それを香霖堂の店主が、ツケの代わりに貰ったそうだ。 高かったんだぜ。それ以上に非売品でな。店主もこれは商品じゃないと、中々売ってくれなったんだ。しかし、俺の努力の甲斐あってな。ようやく売ってくれたんだ。 一週間毎日のように通い詰めたもんだから、向こうもいい加減嫌気がさしたんだろうな。悪いことしたよ」 「……」 「で、これを使って、二匹のふりをしていたという訳だ。両方の違う壁から声が聞こえてきただろ。それには、このスピーカーを使ったんだ」 男はポケットに手を突っ込むと、丸い物を二つ取り出し、れいむの前に置いてやった。 『ああ、ああ、聞こえますか? 聞こえますか?』 『とかいはのありすよ!! ゆっくりへんじしてね!!』 男が出した丸い物体から、声が飛び出してくる。 最初のセリフは右側の丸から、後のセリフは左側の丸から聞こえたものだ。 「これをありすのいた部屋というか、この虐待部屋の壁に貼り付けていたんだ。で、もう一つの方は、本当はまりさがいるはずだった部屋に貼り付けた。 まりさの声を出す時はこっちのスピーカーから、ありすの声を出す時は、もう一つのスピーカーから声を出していたという訳だ。 だから、お前には両壁から、声が聞こえてきたという訳だ。だいたい分かってきたろ」 「……」 「つまりだ。お前が二か月半もの間、毎日のように話をしてきた相手は、なんとこの俺だったというわけだ」 「……」 「虐待部屋とお前の部屋を往復する時、木箱にお前を詰めただろ。それはな、これを知られないためだったんだよ。隣が虐待部屋だって気付かれたら、計画がすべておジャンだからな。 最初からお前だけが、虐待されていたんだよ。架空のまりさとありすは、どこにもいなかったという訳だ」 「………………」 れいむはようやく理解できた。何もかも理解出来てしまった。 れいむは、ひたすら男の掌の中で踊っていたということが。 「ここに来てまりさに出会い、一目で惚れたよな。横から見ても、アリアリと分かったよ。でどうだ、今の気分は? 実際のまりさはゲスで、美しさも作られた物だと知ってしまった気分は? そんなゲスまりさと婚約した気分は? 悔しいかい? 悲しいかい? どうなんだい?」 「……」 「それからありすもね、本当の姿はレイパーだったんだよ。あ、ちなみにこいつの親がレイパーだってのは本当の話だぞ。 ただ、嘘だったのは、こいつがレイパーを憎んでいるって話な。こいつ自身、生粋のレイパーだから。むしろ、親以上だろって言いたくなるほどのな。 どうだい。そんなありすと親友になれて? 君たち、確か親友だよね? これからも親友でいようって約束したよね? レイパーと親友になった気持ちは? 教えてくれよ!!」 男はニヤケ顔を止めず、れいむに言ってくる。 何を馬鹿な事を言っている。 自分が大好きだったのは、あの勇敢で凛々しいまりさだ!! 自分の親友は、優しく本当の都会派であったありすだ!! 決して、この透明な箱の中で醜い姿を曝している二匹ではありはしない!! 「れいむがおよめさんになったのは、このげすまりさじゃないよ!!!! れいむのしんゆうは、こんなれいぱーありすじゃないよ!!!!」 れいむは今までも鬱憤を晴らすかのように、盛大に叫んだ。 しかし、男は一向にニヤケ面を改めようとしない。 寧ろ、男にとっては、その言葉を待っていた節すらあった。 「そうか、こいつ等は婚約者でも親友でもないか。それなら、お前の本当の婚約者と親友は、一体どこにいるんだ?」 「ゆっ!?」 「ああ、そうか。お前の本当の婚約者は俺か!! 本当の親友は俺なんだな!!」 「ち、ちがうよ!! ゆっくりごかいしないでね!!」 「誤解も何もそう言うことだろ? お前が2か月半も一緒に生活してきたまりさとありすは、全部俺の演技だったんだから」 「ぢがうよおおおおぉぉぉ――――――――!!!」 「本当にいろいろな事を話したよな。一緒に俺の悪口を言ったり、作戦会議をしたり、ここから出られたらどうするか話し合ったり」 「やめでええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ――――――――――――!!!!」 「途中、お前の居場所が無くなってきただろ。あれはな、俺がそうなるように仕向けたんだよ。まりさとありすを演じて、お前が一匹除け者にされるようにな。お前の焦りっぷりったら、止められなかったぜ」 「いうなああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――!!!!!」 「そう言えば、ありすというか、ありすを演じた俺の告白はどうだったよ? 迫真の演技だっただろ? あれでお前はまりさに告白する決意を固めたんだもんな」 「やめでええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ―――――――――――――――!!!!」 「しかもその後自分から虐待まで受けるとは。プププ、そんなにまりさと対等になりたかったのかい? その為に、怖い怖い虐待を進んで受けたのかい? 俺が相手だとも知らずに、プププ。おお、愚か愚か」 「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――!!!!!!」 「ありすを出し抜いた気分はどうだい? 優越感に浸れただろ? でも、今思えばとても恥ずかしいよね? 何しろ、俺に告白して、俺に優越感を感じているんだから」 「ゆぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――!!!!!!」 「そもそもさ、おかしいと思わないのかねえ。自分から進んで虐待を受けたがる奴なんて、いるはずがないじゃん。 家族の為ならまだしも、他ゆっくりの為に自分から進んで痛い目に会うって、いったいどんなマゾよ。 それにさ、ありすにしても変だろ。 お前のしたことって完全に裏切りじゃん。それなのに許すばかりか、いつまでも親友でいようねなんて、いったいどこの聖人君子よ。 真に都会派のありすなんて者がいたら、一遍お目にかかってみたいわ。まあ、そんなもん、いないだろうけどな」 「……もう、やめでよ」 「れいむ、お前は最高のゆっくりだったよ。お前を選んで本当に良かった。 森の中で伸び伸びと暮らし、呑気で疑うということを知らない無垢なゆっくりが、少しずつ負の感情に染まっていき、狡猾で計算高くなっていく様をしっかりと見させてもらったよ。 俺としては、お前の性格の変化によっていくつかの結末を考えていたんだが、その中でも最高に近いエンディングを見せてもらったよ。本当にお前は名タレントだった。 俺の掌の中で遊ばれているとも知らず、自分の作戦が順調に進んでいると思っている姿を見たら、途中で何度本当のことを言い出してしまいそうになったことか。 いやはや、危なかったよ。しかし、我慢したおかげで、こんなに素晴らしい喜劇を制作することが出来た。ありがとう、れいむ!!」 「……やめてよ」 「ただ、一つ失敗したのは、あのゲスとレイパーをボコボコにしてしまったことだな。本当なら、万全な姿でお前に会って欲しかったんだが。 その方が、お前にとってこみ上げるものがあるだろ。何しろ、虐待をされてるのは、正真正銘お前だけなんだから。 同じ虐待をされる仲間がいるからこそ、今まで耐えられてきたのに、実は自分だけが虐待されていると分かったら。 良ゆっくりであるお前だけが虐待されて、ゲスとレイパーはそれを見て笑ってるんだから。どうだ、想像しただけで、来るものがあるだろ?」 「……」 「しかし、こいつ等はあまりにもゲス過ぎた。俺の神経を逆なでしすぎたんだな。映像を見ればわかるだろ。じじいとか言ってくんだぞ、こいつ。 いやはや、すっかり我慢できずに、こんな姿にしちまったよ。ゲスの虐待なんて、やりすぎてもう飽き飽きなんだがね。はあ、惜しいことをした……」 「……」 「れいむ、また口が止まったぞ。会話はキャッチボールだ。お前も何か言えよ」 「……」 「おい、何か言えって」 「……ゆっくりここからだしてね」 「はあ?」 「……ゆっくり、このおうちからだしてくれるっていってたよ……ゆっくりまもってね……」 れいむはもうすべてどうでもよかった。 男の話は、しっかり理解した。自分がピエロだったことは、十分理解出来た。 もうどうでもいい。 まりさがゲスだったことも、ありすがレイパーだったことも、男がずっと自分を騙していたことも、どうでもよかった。 ただただ今はこの家を出たい。 外の空気を思いっきり吸い込みたい。 すべてを忘れたい。 れいむは、何度も「ここからだしてね」と繰り返した。 「……タレントなら、最後までしっかりと責任を持ってほしいものだがな。まあいいだろう。お前の消沈ぶりを見せられれば十分だ。家から出してやるよ」 男は虐待部屋の扉を開けると、「ついてこい」と、れいむに顎をしゃくる。 れいむは、虚ろな目をしながら、ただただ男の後に続いて行った。 男は玄関前にやってくると、ドアノブにてを掛けた。 しかし、そこでピタリと手を止めてしまう。 「れいむ、本当に帰るんだな?」 「……ゆっくりはやく、ここからだしてね」 男は「確認したぞ」と言いながら、玄関のドアを開けた。 これで帰れる。 これでこの辛い暮らしともオサラバ出来る。 森に帰ったら、すべてを忘れよう。なかったことにしよう。 そうだ、お母さんの所に帰ろう!! きっとこの悪夢は、お母さんの言葉を聞かなかった自分に天罰が下ったのだ。 これからは、お母さんの傍で、ずっとゆっくりしよう。 友達といっぱい遊ぼう。 無限の可能性を秘めた玄関のドアが開けられた。 れいむは、勢いよくそこに飛び込んでいく……が、 「ゆっ……ゆゆ………ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっ!!!!!」 れいむの目に真っ先に飛び込んできたのは、白だった。 見る物触る物すべて白一色に染まっていた。 それは、ゆっくりを決してゆっくりさせてくれない大自然の猛威。 一面の銀世界に、れいむは言葉を紡げなかった。 「ああ、一つ言い忘れてた。実は昨日、この冬一番の寒波が来てな。雪が積もりに積もったんだわ」 「ゆっ……」 2か月半。 れいむが男に虐待されている間に、季節はすっかり移り変わり、本格的な冬が到来した。 れいむは気付きもしなかった。 そもそも、れいむのいた部屋には窓がないし、その日を生き抜くのに精いっぱいで、そんなことに頭を回している余裕もありはしなかった。 男が巧みな話術で、それを思い出さないように仕向けていたこともある。 また、ゆっくりの巣と違い、人間の家は防寒に優れており、毛布も与えられていたため、気温の変化も気付きにくかったのだ。 「こりゃあ、雪かきが大変だな。全く嫌になるよ。森の方もさぞかしすごいことになってるだろうな。一面雪が積もって、巣の場所なんて分からないだろうね。 それに、餌はあるのかなあ? 動物も昆虫も冬眠してるだろうし、草も花も木の実だってもうあるわけないよねえ」 「ゆ……ゆ………」 「たいへんだな、れいむ。これからこんなところで生きていかなきゃならないなんて。でも、俺は応援しているよ。 ゆっくりお家を作って、ゆっくり餌を集めて、ゆっくり冬眠していってね!!」 何を馬鹿な事を言っているのだ!! こんなところで暮らせるはずがないだろう。 男の言葉通り、森は雪で埋まり、どこに巣があるかも分からない状態だろう。 今から巣を作るなんて言語道断だし、餌なんてあるはずがない。 その以前に、こんな雪の中を歩いて森に帰れるはずがない。 道中、空腹で死ぬか、寒さで凍え死ぬかが落ちだろう。 れいむは男の顔を覗き込んだ。 男はそんなれいむを見て、ニヤニヤとうすら笑いを浮かべている。 知っていたのだ。 れいむがここから出られないことを。 ここから出ても、待っているのは死だけであると。 れいむが助かる方法はただ一つ。男に助けてもらう以外、方法がないのだと。 悔しかった。 ようやく抜け出せると思っていたのに、結局最後の最後まで、男の手の上で踊っていただけの自分が。 あれほどの仕打ちをしてきた男に助けてもらえなければ、生きていくことも出来ない脆弱な自分が。 れいむは悔しかった。 それでも、れいむは死にたくなかった。 死ぬことが怖かった。 「……おにいさん。ゆっくりれりむをおうちにいれてね」 「なんだ、森に帰りたいんだろう? 遠慮するな、れいむ」 「……ゆっぐりおねがいじまず。れいむをおうぢにいれでぐだざい」 「ふーむ……ま、良いだろう。何しろ俺のお嫁さんだしな。どうだ、前に言ったろ。“まりさ”の家は、人間の家と同じくらいデカイって。 ははは、当り前だよな、俺は人間だもん。大きなお家で暮らせて嬉しいだろ。これからも精々可愛がってやるよ。なあ、れいむ」 「……ありがとう……おにいさん」 おまけ 男は里の道を歩いていた。 生活用品の買い出しと、香霖堂への贈り物を買うためである。 今回の虐待は、香霖堂の店主があれを譲ってくれなければ完成しなかった。 半ば無理やり譲ってもらったような品だ。あの店主は人が出来ているので受け取ってくれないかもしれないが、贈り物でもしないとこちらの気が済まない。 あれだけ壮大な虐待が出来たのも、すべて店主のおかげだ。受け取ってくれなければ、無理にでも置いてくるつもりだった。 男は、幼馴染がやっている和菓子屋に入っていく。 「いらっしゃい……って、なんだお前!! その格好は!!」 馴染みの店員が、男の恰好を見て唖然とする。 「ん、なんかおかしいところでもあるのか?」 「お、おかしいって、お前、寒くないのか?」 男が来ていた服。 白いシャツに、青いジャケット。水色の短パンに、極めつけは赤い蝶ネクタイ。 七五三で男の子が着るような恰好である。 格好のみならず、脛毛がとても痛々しい。 「ああ、寒い」 「寒いって……分かってて、何でそんな恰好してんだよ!? 変態か? 変態なのか? だいたいその眼鏡はなんだ、視力2.0!!」 「誰が変態だ!! 最近、ちょっとしたことにハマってたんだが、この格好のほうがやる気が出てくんだよ。 変態じゃねえよ!! 仮に変態だとしても、変態という名の探偵だ!! ちなみに眼鏡は伊達な」 「探偵って……ああ、もういいわ。お前が変人なのは、昔からだもんな」 「なんだと、この野郎!!」 「まあ、それはさて置き、いいところに来たよ。近々、お前の家に行こうと思ってたんだよ」 「用事でもあったのか?」 「この前みんなで集まってな。今度の春に合わせて、演劇でもしようと決まったんだ」 「へえ」 「でだ、お前も当然参加するだろ?」 「ああ、させてもらうよ」 男は里の劇団員の一人である。 劇団といっても本業でしているわけではなく、趣味の合う者が集まって作られたサークルである。 「ところで、どんな演目をするんだ?」 「まだ決まってないよ」 「ならゆっくりの役を取り入れたらどうだ?」 「ゆっくり? ゆっくりって、饅頭のゆっくりのことか?」 「ああ。自慢じゃないが、俺はゆっくりを演じさせたら、幻想郷一という自信があるぜ」 「……本当に自慢じゃないな」 店員は呆れているようだ。 男はとりあえず、店主への贈り物を選び包んでもらう。 「ところで練習場所はいつものところだな?」 「ああ、そうだ」 「いつから始めるんだ?」 「遅くとも来週には取りかかりたいな」 「分かった。予定をあけとくよ」 男は用事も終わったので、店を後にしようとした。 「おい」 「まだ何か用事があるのか?」 「どうでもいいが、そんな恰好で練習場所にくるなよ。みんな引いちまうぞ」 「うっせえ、俺の勝手だろ」 「バーロー」 〜fin〜 久しぶりだね、兄弟(・∀・)ノ 何が書きたかったかというと、最後のセリフを書きたかっただけである 今まで書いたもの ゆっくりいじめ系435 とかいは(笑)ありす ゆっくりいじめ系452 表札 ゆっくりいじめ系478 ゆっくりいじり(視姦) ゆっくりいじめ系551 チェンジリング前 ゆっくりいじめ系552 チェンジリング中 ゆっくりいじめ系614 チェンジリング後① ゆっくりいじめ系615 チェンジリング後② ゆっくりいじめ系657 いい夢みれただろ?前編 ゆっくりいじめ系658 いい夢みれただろ?後編 ゆっくりいじめ系712 ゆっくりですれ違った男女の悲しい愛の物語 ゆっくりいじめ系744 風船Ⅰ ゆっくりいじめ系848 風船Ⅱ ゆっくりいじめ系849 風船Ⅲ ゆっくりいじめ系936 カルガモとゆっくり 前編 ゆっくりいじめ系937 カルガモとゆっくり 後編 ゆっくりいじめ系938 カルガモとゆっくり おまけ ゆっくりいじめ系960 ゆっくりにドラえもんの道具を与えてみた
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/514.html
春先。 ゆっくり達にとっては、長く苦しい越冬が終わりを迎え、食料が不足する季節。 何とか食料を確保しようと、森を駆け巡り、畑に侵入し、民家にまで忍び込む。 あるゆっくり一家も、その例に漏れず人間の畑へ忍び込んでいた。 「ゆっくりできるくらい、おやさいさんがいっぱいだよ!!」 「ゆっくりたべようね!!」 「ゆゆ!! これまだちいさいね!!」 「でもおいしーよ!!」 「ここにいっぱいたべものがあってよかったね!!!」 自分達で見つけた食料を、美味しそうに頬張る一家。 畑の真ん中で、ささやかに行われている一家団欒。 無理も無い、冬の間厳しい食事制限があったのだから。 そのためか、荒々しく音を立てながらやってくる人間がいても気付く事はなかった。 「おい貴様ら!! なにやってるんだ!!!」 すなわち、直ぐに人間に見つかったのだ。 それでも、一家は食べる事をやめずに、未だ畑に居座り続けていた。 「ゆゆ!! ここはれいむたちがさきにみつけたんだよ!!! おじさんもゆくりしていってね!!」 「そうだよ!! このゆっくりすぽっとは、まりさたちが……」 「うるせーー!! ここは俺の畑だ!! おまいらが行かなきゃならねぇのは加工場だろうが!!」 ゆっくりなりの理屈を並べ立てる一家だったが、人間に通じる訳も無く、男はお構いなしに一匹のゆっくり魔理沙を踏み潰した。 「ぶぎゃら!!!」 少しだけ甲高い悲鳴を上げて朽ち果てた魔理沙。 その一匹の姉魔理沙が潰されたことが引き金になり、一家は蜘蛛の子を散らすように逃げ去ってゆく。 「ゆ!! ゆっぐりしないでにげるよ!!」 本当ならまだまだ宴会が続くかと思われた時間。 その漆黒の闇の中を、命からがら逃げてきた一家が歩いていた。 「れーむのーー!! れーむのあがじゃんがーーー!!!」 「まりざのあがじゃんがーーー!!!」 この、ゆっくり霊夢と魔理沙夫婦は三十匹もの子供達がいた。 だが、それも先ほどまで。 我先に逃げていった子供魔理沙が一番に捕らえられ、その後は助けようとした姉たちがズルズルと捕まっていった。 「ゆーー!! おねーーじゃーーん!!!」 「もっどゆっくりしちゃかっちゃー!!!」 今残っているのは、つい最近生まれたばかりの赤ちゃんが六匹のみ。 半数の魔理沙に、半数の霊夢。 それと両親を合わせて八匹の家族。 全員が、薄暗い洞穴の中へ入って行く。 そこは、ゆっくり一家のお家だった。 しかし、昨日までは三倍・四倍近くいたゆっくり達の楽しそうな笑い声はもう聞こえない。 シーンと静まり返った音だけが、ゆっくりの家という場違いな場所で響いている。 「ゆーーーーーー……」 お母さん霊夢が声を漏らす。 大抵のゆっくりは直ぐに忘れてしまうが、いきなり大量の子供を失ったこの親はそうはいかなかった。 自分達が見つけた食べ物を人間に略奪されて、その上子供達まで持っていかれた。 しかし、力の無いゆっくりではどうすることも出来ない。 自分達は、人間とは比べ物にならないほど無力な存在だから。 「おかーさんゆっくりげんきだしてね!!!」 「れーむたちがいっぱいゆっくりするからね!!!」 「まりさもゆっくりするよ!!!」 お母さん魔理沙と子供達が一生懸命励ましてくる。 すると、次第にお母さん霊夢の顔も緩んできた。 「うん!! のこっためんなでゆっくりしようね!!!」 「「「「「うん!!! ゆっくりしようね!!!!」」」」」 その晩。 残った一家は何時もより近寄って眠った。 翌朝、まだ朝露が残っているうちから一家は人里に下りていった。 目的は、以前聞いたことのあるゆっくりブリーダーの話。 自分達が人間と一緒にゆっくり出来るように、色々なことを教えてくれる人がいるところ。 ゆっくり達のおぼろげな記憶だが、これだけはしっかり覚えていた。 「れいむたちもゆっくりできるね!!!」 「あそこでいっぱいごはんがたべれるね!!!」 昨日は、暗い気持ちで通ったゆっくり道。 しかし、今日は希望を持って進んでいる。 「ゆ!! れいむ!!! どこかにおでかけ?」 「むっきゅ~?」 ゆっくり道を抜けたとき、目の前に顔見知りのゆっくりアリスとゆっくりパチュリーが近寄ってきた。 どうやら、体の弱いパチュリーが出来るだけ平坦な所に家を移していたらしい。 「うん!! あのね!! あのね!!」 霊夢と魔理沙が、まるで漫才の掛け合いのように二匹に説明する。 昨日、忍び込んだ所で人間に追い掛け回された事、家族を沢山失った事。 そして、ゆっくりブリーダーの事。 全てを話し終わると、真剣に聞いていた二匹が自分たちも付いて行くと言い放った。 「とかいはのありすは、もっときょうようをみにつけたいよ!!!」 「むっきゅ~♪ ぱちゅりーももっといろんなことをしりたいよ!!!」 人間に襲われないように、と言う本来の趣旨とは外れているが、この二匹もそれぞれ思う所があったようだ。 「うん!! ありすもぱちゅりーもゆっくりしようね!!!」 「まりさと、れいむとこどもたちといっしょにぶりーだーのところにいこうね!!」 仲間が増えて、喜ぶ一家。 昨日減った分には及ばないが、馬鹿煩いアリスと、馬鹿へ理屈をかますパチュリーが加わった事で一家の笑顔も柔らかくなっていった。 「それじゃあ!! みんなでゆっくりぶーりだーのおうちにいこうね!!!」 「「「ゆっくりいこうね!!!」」」 出発するその集団を見つめていた大きな花。 まさに、その集団の賑やかさを象徴するような花だった。 だが生憎と、その花はポッキリと折れてしまっていたが…… ―― 言葉どおり、ゆっくりブリーダーの家へ到着したのは、お昼を回ろうかとした時であった。 「ゆっくりついたよ!!!」 「ここでれーみゅたちゆっくりできるんだね!!!」 「うん!! まりさについてきてね!!!」 そういうや否や、隙間を見つけ勢いよく中へと飛び込んでゆく魔理沙。 残されたゆっくり達も、一呼吸おいて中へ入ってゆく。 「ゆゆ!! ひろいおうちだね!!!」 「うわさどおりだね!! ここならゆっくりできるね!!!」 「「「ゆっくりできるね!!!」」」 「おや。どこからはいってきたのかな?」 ゆっくり達の背後。 家の中から優しそうな声が響いた。 ゆっくり達が顔を向けると、そこにはニコニコとこちらに微笑んでいる一人の男。 「ゆゆ!! れーむたちねぶりーだーのひとにあいにきたの!!!」 「まりさたちゆっくりしたいからここにきたの!!!」 「「「おじしゃん!! ゆっくりしゃせてね!!!」」」 「ああ。そうか。うん、ここで過ごしたゆっくりは皆ゆっくりしてるよ」 帰ってきたのは、希望通りの返事。 それを聞いて一団の顔がニッコリ緩む。 「でも、君達は少し勘違いしてるみたいだね」 「ゆ~? かんちがい?」 この人間はきちんとゆっくり出来ると言ってくれたのに、何処に間違いがあるのだろうか。 どのゆっくりもそんな顔をしていた。 それに気付いたのか、男はゆっくりとした口調で説明し始める。 「そう。ここはね、ゆっくりたちが人間達に襲われないようにするために、色々と教えているところなんだよ」 「ゆゆ!! じゃあ、さっさとまりさたちにおしえてね!!!」 「とかいはのありすがわざわざきたんだから、さっさとおしえてね!!!」 「むっきゅー!!! ぱちゅりーはすぐにおしえてほしいの!!!」 三匹のゆっくりが男を急かす。 しかし、男は一瞬苦笑を浮かべると、直ぐに元の笑顔に戻って話を続けた。 「そんなに直ぐには教えられないよ。前のゆっくり達も数ヶ月掛かってゆっくりできる様になったんだから」 「そんなことないよ!!! きっとそのゆっくりたちはばかだったんだよ!! まりさたちはすぐにおぼえられるよ!!!」 「そうだよ!! れーむたちにかかればすぐだよ!!!」 聞く人が聞いたら一瞬で美味しい餡ペーストが完成しそうな台詞だが、男は慣れているようで微笑みながら話を続ける。 「じゃあね。 1.人間のお家に勝手に入らない。 2.もし、人間のお家に入りたかったらきちんと挨拶をする。 3.言葉遣いにも気をつける。 4.中に入っても人のお家を荒らさない。 5.勝手に自分の家と言ったりしない。 6.食べ物を貰った時はきちんとお礼を言う。 7.決して横柄な態度で催促はしない。 8.ここで言う言葉遣いは、丁寧語、謙譲語、尊敬語をきちんと使い分け、なお且つその場において適切な言葉遣いを話す。 9.人間の作った畑と自然に群生している野菜との区別をつける。 10.その際、人間の作っている畑だったら勝手に食べない。 11.もし、食べたかったら頼んでみるなり、お手伝いするなりして分けてもらう。 12.その場合も言葉遣いに気をつける。 13.モノを食べる時は綺麗に行儀よく食べる。 14.にんげんのお家に住めるようになったからといって勝手に子供は作らない。 15.人間の話も、他のゆっくりの話も最後までキチンと聞いて理解する、間違っても自分の勝手な考えを押し付けない。 と、簡単な所はこれくらいだね」 「ゆ? れーむたちはじぶんのおーちしかはいってないよ?」 「とかいはのありすはことばづかいもきれいだし、しょくじのまなーもただしいよ?」 「ここまでは分かったみたいだね。じゃあ今からきちんと覚えたかどうかテストをするから、覚えていなかったらゆっくりできないよ! まずは……きみから」 男は、ワザと一番頭の良さそうなゆっくりパチュリーを指名する。 指名されたパチュリーは、暫く考えた後に、何か閃いたように元気よく答えた。 「むっきゅー!! む~、もし……人間の横柄な態度の催促だったら勝手に行儀よくたべる!!」 「残念。全然違うよ。このままじゃゆっくりできないね。ここから出たら直ぐに人間に捕まって加工場に連れて行かれるか、その場で食べられちゃうよ?」 予想通り、といった感じで、男はつらつらと文句を並べていく。 「ゆ!!」 まさに、青菜に塩、馬鹿に加工場。 一瞬で自信満々だったパチュリーの顔が青ざめり。 頭がいいことで通っているパチュリーが間違えた事で、周りのゆっくり達も動揺を隠しきれない。 「かごーじょーはいやだよ!!! ゆっくりできないよ!!!」 「まりざもいやーー!!! おじざんたづげてーーー!!!!」 「あれあれ? 君達はさっきこんなの簡単だよって言ってなかったけ?」 ワザとらしく、先ほどとは違う種類の笑みを浮かべながら、ゆっくり達に聞き返す。 「とかいはのありすでもおぼえられないよーー!!!」 「むっきゅ~~~~~~……」 「それじゃあ、ここできちんとゆっくりできるように頑張るかい?」 飴と鞭を巧みに使い分け、ゆっくり達をコントロールする。 その手際の良さは、流石ブリーダーといった所だろう。 「取り合えず。お昼は何も食べてないだろ? ご飯にしよう」 「!!! うん!! ゆっくりたべるよ!!!!」 「おじさん!! はやくまりさと、みんなのぶんもってきてね!!!」 「はいはい。っとそうだ、君達は何処から入って来たのかな?」 室内に向けた体を外に戻して、ゆっくり達に尋ねる。 対するゆっくり達はご飯を急かす。 「ゆゆ!! そんなことよりごはんをはやくもってきてね!!!」 「だめだよ! きちんと説明しないと。それとも、お外でゆっくりしようか?」 「ゆ!! おじさん!! おそとはだめだよ!! ゆっくりできないよ!!」 「じゃあ、どうやって入ってきたかおじさんに教えてくれるかな?」 「かんたんだよ!! あのすきまからはいってきたんだよ!!!」 胸を張って魔理沙が答える。 このゆっくり魔理沙は、早速人のご機嫌を取ろうとしているようだ。 「そうか。じゃあ君はご飯は半分だけだね」 「ゆ!! どーして? まりさはきちんとなかにはいれたよ!!!」 「うん。でもね、人間のお家に入るときは玄関で、今日はって言わないといけないんだよ。君達もお友達のお家に入るときに挨拶するだろ?」 「うん!! ありすのおーちはとってもおおきくてとかいはのおーちだし、ぱちゅりーは……」 「うん。わかった、わかったよ。ともかく、人間のお家でも挨拶をしないとだめなんだ。しかも、勝手に他の場所から入る事もいけないんだよ。わかったかい?」 「ゆ~~~。うん、げんかんでごあいさつすればいいんだね!!!」 「そう、挨拶の仕方は後で教えるよ。……それじゃあ、きちんと理解できたからご飯は一人前食べさせてあげるよ」 「ゆゆ!! おじさんありがとう!!!」 既に太陽は西に動いていたが、ゆっくり達はようやく昼食を取ることができた。 「よし! じゃあこれからゆっくりできる様に君達に教えていくよ!!」 舐めたように綺麗にした食器を見て、男はゆっくり達に声をかける。 何匹か、ゆっくりお昼寝するといったゆっくりがいたが、お外に連れて行くと言うときちんとおじさんの元へついてきた。 そしてその日は、基本的なことをゆっくり達に教えていった。 人間のお家に勝手に入る事、畑、仕草その他もろもろ。 勿論、一日で覚えることができたら苦労はしない。 インコに言葉を教えるように、何日も何日も同じ説明を繰り返す。 ゆっくり達も覚えるペースは遅いが、キチンと一個一個覚えていく。 畑の事を覚えた時、ゆっくり霊夢と魔理沙は自分達のやった事を理解して号泣した。 子供達が泣きながら励ましたが、それでもなかなか泣き止まない。 やがてもらい泣きした男が、泣き出しながら二匹を抱きしめた所で二匹の後悔のメロディーは止んだ。 そんな事が多々あったが、田植えが始まる頃になると、個人差はあるが最低限の事は理解できるようになった。 「きょうからはすこし外にでてみよう」 これ位なら外に出しても大丈夫。 男は長年の経験から判断して、野外学習に切り替えた。 「ゆゆ!! おじさんれいむたちおそとにでてもだいじょうぶ?」 「みんにゃでゆっくりできるにょ?」 知識が付くにつれ、ゆっくり達も自分達がどのように見られているのか理解できた。 そんな自分達が人間の多い所をうろついて大丈夫なのだろうか? 「大丈夫! おじさんといっしょだし。 君達はそこら辺のゆっくりよりはきちんとしているから」 背中を押してやる。 元々好奇心旺盛なゆっくりは、暫く迷っていたがおじさんと一緒なら安心だと言うことで外に出ることにした。 「ゆゆ!! おそとひさしぶり!!!」 「おかーさん、こっちでゆっくりしようね!!!」 「ゆゆ!! はなれちゃだめだよ!! まりさについてきてね!!!」 久々の外の世界を見たゆっくり達は、出る前の不安な気持ちを一気に脱ぎしててはしゃぎ出す。 「おーい! こっちこっち。さぁついておいで」 「ゆゆ!! ぴくにっくだね!! とかいてきだね!!」 「むっきゅ~♪ これくらいならぱちゅりーもついていけるよ!!!」 パチュリーのペースに合わせる様に男が向かったのは自分の田んぼ。 田植えを終えたばかりのその田園はどこと無く、奇妙な違和感がある。 「ゆ? おじしゃんこれなに?」 「これなーに?」 一番に好奇心旺盛な子供達が尋ねる。 「これはお米の子供だよ。ここから大きく育つと、おいしいごはんがとれるんだ」 「ゆ!! おこめ!! おじさん!! これみんなおこめになるの!!!」 「むっきゅ!! むきゅきゅ!!!」 一番の食欲の霊夢とパチュリーが興奮気味に尋ねる。 「そうさ。そこで、君達にお仕事がある」 「ゆ? おしごと? まりさたちに?」 「ゆゆ!! アリスはとかいはだからおしごとがんばるよ」 残った金髪饅頭組みが答える。 「ああ。この田んぼの中に、虫がいると育たないから虫を食べて欲しいんだ」 「ゆ? おむしさんがいるとだめなの?」 「ああ。むしは稲にとって害虫なんだよ。害虫はこの前教えたよね?」 「むきゅ!! お野菜とかをダメにするむしさんだよ!!」 パチュリーが勢いよく答える。 以前、全く覚えられなかったのを悔やんで沢山勉強していたのだ。 「そう。それで、君たちがキチンと働いてお米が取れれば、他の人間も君達をゆっくりさせてくれるよ」 「うん!! かんたんだよ!! れーむたちはむしさんもごちそうだもん!!」 「がいちゅーさんのむしさんは、まりさたちにまかせてね!!!」 そう言いながら、皆次々に田んぼの中へ飛び込んでゆく。 ためらうかと思ったアリスもすんなり入っていった。 「ゆゆ!! どろはとってもせいけつなんだよ!! とかいはのありすはにんげんともゆっくりしたいよ!!!」 唯の孤独感と虚栄心に裏打ちされた結果だった。 しかし、都会派都会派煩いアリスが、こうして自ら汚れてまで他の人の為にするというのはなかなかの進歩である。 粗方虫を飛べつくすと、男の合図でこの日の野外学習は終わった。 「みんなキチンと働いて偉いよ!! 収穫の時まで頑張ろうね。そうすれば、皆も人間とゆっくりできるよ!!!」 「「「「!!!!」」」」 ゆっくりできる。 遠いが、確実に見えたその目標はゆっくり達にとって大きかった。 人間達とゆっくりできるようになれる。 もう、掴まって食べられたりすることも無くなる。 ゆっくり達はおじさんから、ブリーダーに育てられたゆっくりは街のかなでお手伝いをしながら住んでいる、中には人間に飼われているゆっくりもいる、と言う話をよく聞かされた。 今までは、半ば絵空事の様に聞いていたが今では確実な目標として存在している。 その事が、ゆっくり達には嬉しかったのだ。 「それじゃあ、かえって体を洗ったらまたお勉強だよ」 「「「「うん!!!! ゆっくりできるようにおべんきょうするよ!!!」」」」 ―― 稲もよく育ち、見慣れた田んぼが現れ始め、夏がやってきた。 この頃には、男が熱心に教えた甲斐があり、多少たどたどしいがそれなりに挨拶ができるようになっていた。 「こんにちは。ゆっくりさせてくださーね!!」 「いらしゃい!! おじさんのおーちによこそ!!」 近頃は、お互いのお家に来たという設定でゆっくり自ら勉強している。 普段は飽きっぽい性格だが、自らがずっとゆっくりできる為に必死になっているのだ。 しかし、その晩ちょっとした事件が起こった。 みんなで食事を取っている時に、ゆっくりアリスの大群が押し寄せてきたのだ。 「まままままりざーーー!!!!」 「れーーーむうーーーーーー!!!!」 「ありすはみんなだいすきだよーーーー!!!!!」 集団はそう言って、一番身近にいたゆっくりパチュリーに襲い掛かる。 「むきゅーーー!!! だずげてーーー!!!」 「ぱちゅりーー!!! ありすやめてね!! みんなをはなしてね!!!」 「れいむ!!! まりさ!!! ありすもいるーーー!!!」 「みんなだいすきだよーーー!!!!!」」」」」 涎をダラダラ出しながら、一気に迫ってゆく洋菓子軍団。 しかし、今は食事中であった。 なので当然、男もここにいた。 「おい洋菓子饅頭!!」 「すすす、すっきr――んびゃ!!」 近くに来たアリスを一匹捕まえて、籠に放り込む。 その後も、必死になって交尾をしようとするアリス達を片っ端から籠に突っ込んでゆく。 時間にして僅か15秒、捕まえたゆっくりアリスは15匹。 「ゆゆ!! おじさん!! とかいはのありすたちをどーするつもり!!」 「はやくそのこたちのこどもをつくらせてね!!!」 散々わめき散らすアリス達をそのまま外に連れて行く男。 「君達はここでは教育できないね。明日になったら、加工場よりもゆっくりできる所に連れて行ってあげるからね!!」 「!! かこーじょーわやだよ!! とかいはのありすたちはいいゆっくりだよ!!!」 「おじさんたすけてね!! いまならみんなおじさんのるーむめーとになってあげるよ!!!」 叫び声は一段と大きくなったが、男は気にせず家の中へ戻っていった。 翌日から、そのアリス達はクレープ作りに従事することとなった。 「ぱちゅりー!! ゆっくりできる? ゆっくりしてね!!!」 中では、一番酷くやられたパチュリーを囲むように他のゆっくりが心配そうに眺めていた。 「むっきゅ、ゆっくり、できるよ!」 息は荒いが、心配はない。 男がそう伝えると、お祭りのように騒ぎ出すゆっくり達。 その中の、お母さん魔理沙を見つけた男は頭を撫でながら声をかけた。 「えらいな! 真っ先にパチュリーの元へ駆けつけて!」 「ゆゆ!! とうぜんだよ!! おともだちがゆっくりできてなかったもん!!! まりさはもうにげないよ!! こどもたちもおともだちもまもるよ!!!」 さも当然、と言うように魔理沙は言ってのけた。 直後に霊夢が魔理沙を呼んだので、直ぐにそっちに行ってしまったが、大抵我先に逃げる魔理沙が自分から向かって行ったのだ。 これは、ブリーダーだったならば、誰しも涙を流して喜ぶ瞬間だった筈だ。 男も、急いで台所へと足を運ぶ。 「よし! きょうはパチュリーが元気になるお祝いにしよう!!」 台所から、沢山のお菓子を持ってきた男が宣言すると、ゆっくり達も元気よく賛成した。 「「「「うん!!! ぱちゅりーはやくげんきになってね!!!」」」」 「むきゅ~♪ げんきになるよ!!!」 蒸し暑い、よどんだ空気も吹き飛ばすくらい、賑やかで晴れやかな夜となった。 ―― 稲が黄金色に輝き、水田の水も抜けきった。 この頃には小さかった赤ちゃんゆっくりも、体はまだ小さいが赤ちゃん口調は抜けてきた。 この日、ゆっくり達は男に連れられて近所の家へ出かけた。 ゆっくりできるかテストだよ。 男にそう言われたゆっくり達は日頃の成果を存分に発揮した。 「こんにちは!! ゆっくりさせてもらえますか!!!」 これはお家に入るときの挨拶。 「おじゃまします!!」 中に入れてもらえるときの挨拶。 「いただきます!!」 モノを貰って食べるときの挨拶。 「むしゃむしゃ」 食べるときは、食べ溢さずにキチンと口の中に入れる。 「おいしかったです!!」 食べ終わった後に言う台詞。 「さようなら!! またゆっくりさせてください!!」 お家を出て行くときの挨拶。 それを終えると、男と、その家の家族から拍手が送られた。 「うん。合格。後は明日収穫予定の米のでき次第だよ!!」 「いやー。一家全員で楽しみにして待ってるよ! ゆっくりがんばってね!!!」 「「「ゆっくりがんばるよ!!!」」」 おじさんだけではなく、始めて会った人間からも褒められたことがゆっくり達には嬉しかった。 そして、合格と言ってくれた事も。 その日、ゆっくり達は興奮してなかなか寝付けなかったが、明日の為に随分早い時間から床に入ったので、結果的に睡眠は十分取れた。 そして、今日は待ちに待った収穫の日。 この日の為に毎日泥だらけになりながらもキチンと仕事を続けたゆっくり達には特別な日である。 「ほら、良い稲だ!! この束をあっちにはこんでくれ!」 「うん!! いっぱいなってるね!! ゆっくりすぐにはこぶよ!!!」 自分達がキチンと働いた田んぼからちゃんとお米が取れれば、人間達とゆっくりできる。 「んーしょ! んーしょ!! ふう~」 言われた場所に稲を運び終わったゆっくり霊夢は、他のゆっくりに聞こえるような声で叫んだ。 「みんなみて!!! れいむたちがおてつだいしたおこめがちゃんとできてるよ!!!」 「ゆ!! ほんとうだ!!!」 「やったねおかーさん!!!」 「これでみんなゆっくりできるね!!!」 大きく育った子供達も、パチュリーもアリスも、その成功が意味する事を知っている。 だからこそここまで嬉しくなるのだ。 今まで苦労して、人間とゆっくりするためにこの日まで頑張ってきたのだ。 「おーい!! よろこぶのもいいけど、こっちもてつだってくれ!!」 沢山の稲を抱えて佇む男。 その元へ慌てて皆で駆け寄っていくゆっくり達。 その顔はいつか見た花のように燦々と輝いていた。 「「「「おじさん!! いまゆっくりいくよ!!!!」」」」 その夜。 昇り始めた月には、はっきりとウサギの陰が映っているが、この家の住人だけはそんな事は関係なかった。 「ゆっゆ♪ まりさおいしようだね!!!」 目の前には、 「ゆ~♪ れいむもがんばったもんね!!!」 このひまで、 「「「おかーさんがんばったよ」」」 泥だらけになりながら、 「「「れーむたちもがんばったもんね♪」」」 がんばってお手伝いした、 「やっぱり、とかいはのありすはしんまいがにあってるね!!!」 田んぼの新米が、 「むっきゅ~~~♪」 大きなたらい入って湯気を立てていた。 まさに銀シャリと言うに相応しいその米の輝きは、ゆっくり達がゆっくりできるように頑張った苦労を称えているかのようであった。 「おめでとう。君達は随分礼儀正しくなったよ!! これならもうだいじょうぶ!! 明日からは、このお家を出て、この街でゆっくりくらせるよ!!!」 そう言う男の目に涙が流れている。 余程この日が待ち遠しかったのだろう、嗚咽交じりになりながらゆっくり一匹一匹に声をかけていく。 「おじさん!! なかないでね!! 時々遊びにくるから!!」 「うん!! げんかんからこんにちはしてはいってくるよ!!」 「とかいはのありすは、おてつだいしてもらったたべものをもってくるよ!!!」 「むっきゅ~!! ぱちゅりーもおはなしいっぱいおぼえてあそびにくるよ!!!」 一匹一匹、男の事を心から心配して、時々遊びに来ると口々に男に話す。 まるで、小さい頃から育て上げた娘が嫁いでゆく時のようだ。 おそらく、以前のゆっくり達を育てたときもこのようなやり取りがあったのだろう。 「……ああ。いつでもおいで!! ゆっくりまってるよ!!!」 「「「ゆっくりまっててね!!!」」」 その後に訪れる笑い声。 長く過ごした、ゆっくりと男だけが知っている笑いだった。 「よし、ごはんが冷めるからさっさと準備しようか?」 「うん!! じゅんびてつだうよ!!!」 「よしよし。でもその前に、苦労して作ったご飯をちょっとつまんでみな!」 そう言って、たらいのご飯を少量紙皿に移した男はゆっくりの前にそれをおいた。 口の周りに付かないように注意しながら食べて言うゆっくり。 「おいしい!! おじさんこれすっごくおいしいよ!!」 「そりゃあ、君たちが苦労してお手伝いした田んぼだもんな!」 「むしゃむしゃ……。おいしーね!!」 「ねーー!!」 どうやら、今年の米も上々のようだ。 つまむ程度なので、決して多い量では無いがゆっくり達は文句も言わず笑顔で食べ終えた。 少々もち米が混ざっているようで少しべたつきがある。 これも、今夜のメニューに必要なものなのだろう。 「おいしかったよ!! はやくおりょうりつくろうね!!」 そう、今は料理の途中だったのだ。 以前は食欲だけが先走っていた霊夢もキチンと我慢することができるようになっていた。 今日の献立は聞かされていない、しかしきっと最後の食事は豪華なものになるのだろう。 「うん。ところで皆前に話した害虫のお話は覚えてる?」 「むっきゅ!! かってに野菜とかを食べちゃうむしさんのことだよ!!!」 パチュリーが元気よく答えると、周りからも似たような答えが返ってきた。 「うん。きちんと覚えていたね! それじゃあお料理を初めようか?」 それだけ言って、男は今晩の夕食作りに取り掛かる。 「とかいはのありすはしってるよ!! こういうときはでなーっていうんだよ!!」 「ありすはものしりだね!! ……ゆ?!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!!」 突然、この家からは聞こえるはずの無い声が響いた。 それは、よく加工場や紅魔館から聞こえる声。 「れ!! れいむのこどもがーーー!!!」 そう、つまりはゆっくりの叫び声。 対象は子供霊夢だった。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!! お、おじさん!!!! どうじてーーー!!!!」 既に瀕死の重症を負った子供霊夢は、残った力を振り絞って男に尋ねる。 きっと、何かわけがあるはずだと考えて。 「だって………………から」 「ゆ! ゆっくりじだがっだーーー!!!!!! ……」 そして、何時も通り男から何か理由をを聞かされると、そのまま息絶えた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!! れーむのこどもがーーーーー!!!」 「まりざのこどもがーーー!! おじさん!! どうしてこんなごとするの゛ーーー!!!」 二匹目のゆっくり、子供魔理沙を引きちぎっている男に詰め寄る二匹。 「どうじだの!!! わるいものでもたべたの?!!!」 「それども、そのごだじはゆっくりできないの?!!!」 生き残った自分の子供達を失ったことで親はかなリ動転している。 「そんなこと無いよ。この子は皆と同じだよ!」 子供魔理沙の餡子をたらいの中へ移した後に、ゆっくり達に向き直って男は微笑んだ。 「だったらなんで!! なんでれーむのあがじゃんを……」 「なんで? だって君達は害虫だよ。勝手に畑を荒らすし、人の家も荒らす。唯の害虫の方がまだましだよ。生憎と、 害虫はキチンと教育しても害虫だからね。キチンと処分しないとね」 場が凍った。 湯気を上げ続けるたらいだけが、この異常な場から抜け出している。 「ゆ? おじさん!! れーむたちはぶりーだーのおじさんのところでがんばったよ!! ゆっくりできるんでしょ!!!」 「そうだよ!! まりさたちはがんばったよ!! おじさん、これもおべんきょうなんでしょ!! こどもたちもほかのばしょにいるんでしょ?」 「……」 その問いかけに答えずに男は四匹の子供ゆっくりを掴んで。 「ゆゆ!! おじさん! ゆっくりさせてよ!!」 「ゆっくりできるんだよね!!」 「……」 「「「「ゆっびちゃ!!!! ……」」」」 力を込めて、凍った場を一気に溶かす。 溶かすと言うよりも砕くといったほうが良いのかもしれないが……。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛……れーむのこどもが……」 「まりさの……まりさのかわいいこどもが……」 呆然と桶の中を眺める二匹。 その横では、パチュリーが引きちぎられようとしているが、この二匹は助ける元気が残されていなかった。 ただ、呆然と見つめているだけだ。 「むっきゅ!! おじさんはさいしゅうしんさをしてるんだよね?!! ぱちゅりーはゆっくりしたいよ!!!」 「良いとも。いったろ? ここで過ごしたゆっくりは皆ゆっくりしてるよって。君もずっとゆっくりできるよ。ほら、今処分してあげるから」 「いだ!! いだいよーーー!!! ゆっぐりざぜてーーー!!!!」 暫く力いっぱい千切ろうとしたが、子供のようにはいかないようで包丁を取り出して頭の上を切りとる。 「はぁはぁ……!! むきゅ? ぼーじ!!! ぼーじがえして!! あ!! あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーー!!!」 間髪いれず、しゃもじで中の餡子を掻き出していく。 「むっきゅ!! ごめんなざい!! おじさん!! ゆる!! じで!!! ……」 男は、大量の餡子を桶の中へ移し、饅頭の皮はゴミ箱に捨てた。 「さてと、次はこっちを先に料理するか」 男が向かったのは、呆然としている二匹ではなく、ゆっくりアリスだった。 「ゆゆ!! おにーさん!! ありすはとかいはだからきちんとゆっくりできるよ!!! だからもうさよならするよ!!!」 慌てながら、出口に向かっていこうとするアリス。 それを逃がすはずも無く、男は捕まえたそれをまな板の上へと運んだ。 「お、おじさん!! ありすはとかいだがr……」 「関係ないよ。君達は害虫だって言ったろ? 特にお前は、はつかねずみ以上に性質が悪い害虫だよ。かってに害虫の数を増やしちゃうしね」 「ゆ? ちがうよーーー!! ありずはがいじゅうじゃないよーーー!!!」 沸騰したお湯の中へ袋ごとカスタードを入れる、そのままだと固まっているので調理し辛いのだ。 「あづいーー!!! おじざんあづいよーー!!! だじでーーー!!!」 全体に熱が伝わるように、時々かき混ぜる。 袋の開口部を下にすると、騒音も気にならない。 「ぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!!」 暫く経ったらお湯の中から取り出す。 「おじざん!! ありずはどがいはじゃないですーー!!! しゅーだんしゅーしょくでじだんでずーーー!!!!!」 額に大きな穴を開け絞り出す、このとき中のカスタードは熱いので注意が必要である。 「あがっががあああああーーーー!!!!!!」 取り出し終えた袋をゴミ箱へ捨てる。 どうやら、これはクレープに使うようだ。 「よし、こっちも仕上げだ」 「……ゆ~?」 「……おじ……さん?」 未だ呆然としている二匹の前に近づく男。 それを見て二匹はここ数ヶ月のことを思い出した。 勝手に人間の畑を荒らして子供達が沢山いなくなった。 そして、残った家族でゆっくりしようとブリーダーのお家へ向かった。 初めは大変だったけど、一緒に来たアリスやパチュリーと一緒に頑張った。 色々覚えた頃、初めてお外に行った。 そこで、人間の田んぼを手伝った。 これが上手くいけばゆっくりできると思ったから一生懸命頑張った。 アリスが大勢着たときも、逃げずにパチュリーを守った。 以前の子供たちのように失いたくなかったから。 テストもキチンとできた。 その後、キチンとご飯ができた。 それを、おじさんが食べれるようにしてくれた。 がんばったご飯は美味しかった。 これでおじさんのお家から、街へ出てゆっくりできる。 その筈だった。 「いいかい? よーくきいてね!!」 男は、今までゆっくり達にモノを教えているときと同じ口調で話し始める。 「おじさんはゆっくりブリーダーです。でもキチンと勉強したゆっくりを、おじさんはお外に出しません。田んぼを手伝って美味しいご飯ができたら お外に行けると言ったのも本当です。でもおじさんはお外には出しません。それは、キチンと自分の事を理解した害虫が、最後に害虫として死んでゆ く時の絶望した顔を見るのが好きだからです。そして、私はまだ二十台なのでおにーさんです」 「ゆー。れーむはゆっくりできるの? ちゃんとごはんもできたよ?」 「まりさも、ちゃんとごはんつくるのてつだえたよ。にんげんとゆっくりしたいよ!」 幾分、表情が元に戻ってきた二匹は、再度男に尋ねた。 今まで、頑張ってこれたのは人間とゆっくりしたかったから。 「できません。君達は害虫だから。害虫は害虫らしくゆっくり死んでね!!!」 ゆっくり達の答えも聞かず、餡子の袋の上部を切ってゆく。 「ゆーー!!! いだいよ!! おじざんれいむだぢをゆっぐりざぜてーー!!!!」 「まりざたちはゆっぐりじたいよーー!!!」 そのまま、餡子の袋から餡子を取り出す。 「あっががあああ!! やめでぇーー!!! れーむのながみだざないでーーー!!!!!」 「まりざのあんごがーーー!!! おじざん!! もどしで!!! もどしでね!!!」 そういっている間にも、ドンドン餡子の量は減ってゆく。 「「…………ゆ!!」」 絶望し途切れそうになる意識の中で、二匹は自分達を呼んでいる声を聞いた。 「おかーーしゃーーん」 「ゆっくりしよーーね!!」 「「……こどもたちだ……」」 それは、失った子供達の姿。 「むっきゅーー!!」 「とかいはのありすはじかんにるーずなの!!!」 「「ありす……ぱちゅりー……」」 そして、今まで苦楽を共にした友人だった。 「「っ!!!」」 まっていまいくよ!! そこ言葉を、まさに発しようとした時だった。 「畜生に神はいないよ♪」 「「……ゆっぐりぎだがった!!!」」 忽然と、周りからゆっくり達の姿は消えた。 そして、最後の最後で完全に絶望した餡子袋も、ゴミ箱に捨てられた。 今日の男の食事はおはぎとクレープ。 しかし、一つだけ違うことがある。 それは、おはぎを多く作った事。 理由は簡単だ。 米を無事収穫できたお祝いに、近所の人へおはぎを配るためだ。 月が綺麗に夜空に舞う頃、おはぎを配り終えた男は、何時ものように一人だけの食事を取って床についた。 ―― 一面、白い雪化粧で覆われる冬。 田んぼは子供達の格好の遊び場になる。 食事を支えるこの土地は、この間は子供が笑顔で過ごせるように、沢山の雪を蓄えた。 ―― それが、土に帰る春。 村では野菜や稲の準備が始まる。 それは、同時に男の仕事始めでもある。 「おや? 君達は何処から入ってきたのかな?」 その日も男はペット一匹居ない家で一人で食事を取る。 田んぼはまだ何もない。 ただ、これからお世話をするであろうモノ、その餡子の様に黒い土に覆われているだけだ。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/182.html
「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛!!ゆ゛っぐり゛ざぜでえ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 山菜取りから帰る途中、茂みからそんな声が聞こえてきた。 何事かと思い覗き込むと、そこには罠にかかって動けなくなっているゆっくりがいた。 大方ハンターが仕掛けた物だろう。ゆっくりは高く売れるからな。 犬猫ならともかく、ゆっくりなんぞ助けても仕方が無いのでそのまま行こうとする。すると 「お゛に゛い゛ざん゛!!だずげでぐださい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 お兄さんじゃあ、しょうがないな。 小さな頃から老け顔で、十五にして父親からも『親父』と呼ばれていた俺の憧れの呼ばれ方ベスト5だし。 「そら、もうかかるんじゃないぞ…って無理だよな。ゆっくりブレインだし」 「ゆっくりできる!ゆっくりできるよ!おにいさんありがとう!!!」 「はいはい。じゃあな饅頭」 「まんじゅうじゃないよ!れいむだよ!ゆっくりおぼえてね!!」 「へーへー」 あまりこんな所を人に見られたくはないので早足でその場から離れる。 ゆっくりはまだ何か叫んでいたが、どうでもいい。どうせいつものあれだろう。 家に着いて早速至高の山菜料理を作っていると、戸を叩く音が聞こえた。誰だろう。 「はいはい今開けますよー」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 なんと客はゆっくりだった。それも二匹。 「何だお前ら、一体何の用だ」 「ゆっくりさせていってね!!ゆっくりさせていってね!!」 「何言ってやがる帰れ帰れ。うちにはお前らみたいな饅頭に食わすタンメンはねえぞ」 「まんじゅうじゃないよ!れいむだよ!ゆっくりおぼえていってね!!」 「あん?何だそりゃ。ひょっとしてお前さっき会ったゆっくりか?」 「そうだよおにいさん!ゆっくりさせていってね!!」 「じゃあそっちの黒いのは何だ」 「れいむのおともだちだよ!まりさっていうんだよ!!」 「よろしくねおにいさん!まりさもゆっくりさせていってね!!」 一体どういうつもりだろう。まさか親切なカモがいるからと、仲間共々たかりに来たのだろうか。 「ちょっと親切にした位で調子に乗るんじゃねえぞ饅頭。お前らなんかにゃ水一滴だってやらん!」 「いらないよ!ごはんいらないよ!だからゆっくりさせていってね!!」 「おねがいします!ゆっくりさせていって!!」 なんと飯はいらんときた。一体何事だ?油断させてつけこもうなんて知恵がある訳も無いし…… ま、いらんと言うなら別に上げてやっても構わんか? 今晩居座るなら明日加工所に売りに行けばいいんだし。 「ああ分かったよ。大人しくするなら入れてやる」 「ゆっくりするよ!ありがとうおにいさん!!」 「ありがとう!!」 ぴょんぴょん飛び跳ねながら家の中に上がりこむ。何を嬉しそうにしてるんだこいつらは。 「お前らはその隅っこで大人しくしてろ。何も食わせてはやらんし、暴れたりしたら食うからな」 「わかったよ!ゆっくりじっとしてるね!!」 「ゆっくりたべないでね!!」 「ああそうしてろ」 何とも妙な話だ。ひょっとして狐にでも騙されているのか? 首を傾げつつ料理を作り、一人で食う。その間物欲しそうにこちらを見ていたが、当然分けてなどやらん。 「おいお前ら涎を垂らすな汚らしい。踏み潰すぞ」 「ゆ!ごめんなさい!!ゆっくりふいておくね!!」 「ゆっくりふまないでね!!」 益々おかしい。本当にこいつらゆっくりなのか…まあどうでもいいか。 その後風呂に入ったり布団を敷いたりしている間も奴らは大人しかった。不気味だ。 「お前ら帰らんでいいのか?俺はもう寝るが」 「ゆっくりとまっていくよ!ゆっくりねていってね!!」 「ゆっくりおやすみ!!」 「ああおやすみ。寝てる間に暴れたり盗み食いなんかしたら八つ裂きにするからな」 そう言ってさっさと寝る。まあ、仮に寝てる間に盗み食いなんかされても所詮二匹だけだ。 二匹とも売れば十分プラスになるだろう。 翌朝。妙な騒がしさで目が覚めると同時に、昨夜の考えは間違っていたと思い知らされた。 こ、こいつらまさかこんな方法で俺に嫌がらせをしやがるとは……!ゆっくりって奴は悪知恵は働くんだな畜生!! 「あ、おにいさんがおきたよ!!ゆっくりおはよう!!」 「ゆっくりおきてね!!」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」 どうやらあの二匹、俺が寝ている間に交尾しやがったらしい。ミニマムサイズのちびゆっくりが十匹もいる。 当然家の中は荒れ放題、食い物はほぼ全て食い尽くされている。 「お前ら、荒らすなって言ったよな?そこまで八つ裂きにされたいのか。そうかそうか」 「れいむとまりさのあかちゃんだよ!!ゆっくりかわいがってね!!!」 「ゆっくりかわいいでしょう!!!」 「んな訳あるかこの糞饅頭が!!てめえら一匹たりとも生かして返さんぞ覚悟しろ!!!」 怒鳴った瞬間、それまでの喧騒が嘘のように静かになった。 親ゆっくりれいむが、涙目になってこちらを見ている。 「ひどい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!ぜっがぐお゛ん゛がえ゛じじであ゛げだの゛に゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 「あやまってね!!ゆっくりあやまってね!!」 「「「「「「「「「「ゆっくりあやまってね!!!」」」」」」」」」」 「恩返し、だぁ?一体どういう事だ。説明しろ糞饅頭」 どうにかこうにか聞き出した所によると、罠から助けてくれた俺に恩返しがしたかったらしい。 だが恩返しの方法なんて分からない。 そこで友人のゆっくりまりさに相談したら、可愛い赤ちゃんを見せてあげれば喜ぶに違いないという結論に達したとの事。 ゆっくりに恩なんて概念があった事に驚きだ。加工所の人に話してもきっと信じないだろうな。 「そうか。事情は分かった」 そう、悪気は無い事は分かった。だが、それだけだ。 悪気があろうが無かろうが起きた現実には何の違いも無い。俺は家中をメチャメチャに荒らされ、食い物を全て奪われた。 その代償はきっちりと払ってもらわなければならない。というか、恩返しなのに恩着せがましい物言いをするのが気に食わん。 「じゃあお前らとゆっくり遊んでやる。そうだな、かくれんぼをしようじゃないか。鬼は俺だ」 「ほんとう!?ほんとうにあそんでくれるの!!!」 「おにいさんありがとう!!ゆっくりかくれてるね!!」 「「「「「「「「「「わー!ゆっくりかくれようね!!!」」」」」」」」」」 「おっと。お前は俺と一緒に探すんだよ」 「ゆっ!だっこだ!だっこきもちいい!!!」 親ゆっくりれいむを抱きかかえて座る。こいつにはせいぜい楽しませてもらわんとな。 しばらく待ってもういいかーい。あちこちからもういいよー、と聞こえたのでゆっくりれいむを抱えたまま捜索開始。 「……ゆっくりまりさ、見つけた」 信じられん、あれで隠れているつもりか。頭隠して尻隠さずとは言うが、こいつは顔しか隠れていない。 「みつかっちゃった!!おにいさんすごい!!」 「れいむはわからなかったよ!!おにいさんすごい!!!」 これがゆっくりブレインか……よく生きていられるな。 「じゃあ見つかったまりさも俺がだっこしていてやろう」 「ゆっくりだっこしてね!!!」 「おそろい!おそろい!!」 片腕で何とか抱えて残りのちびゆっくりを探す。 奴らは体が小さい分難易度が高いが、所詮はゆっくり。簡単に次のを見つけた。 「ちびゆっくりれいむ、見ぃつけた」 そう言ってゴミ箱に隠れていたちびゆっくりを空いた手で掴む。 「ゆっくりみつかっちゃった!!!」 「おにいさんほんとうにすごいね!!!」 「ゆっくりかくれんぼのめいじんだね!!!」 「それじゃ、見つかったちびゆっくりちゃんは罰ゲームだ」 「ゆ?」 ちびゆっくりを口の中に放り込む。途端、ゆっくりれいむが物凄い形相で叫ぶ。 「なにするの!!おじさんやめて!!ゆっくりはなしてあげて!!」 おじさん、だと…?一瞬このまま殺してやろうとも思ったが、思いとどまって口の中を見せる。 「ゆっくりあったかいよ!」 「何勘違いしてやがるんだお前は」 「ゆっくりまちがえちゃったよ!!」 口の中でちびがもぞもぞ動く感覚が面白い。舌で転がしてやると喜んでいるようだ。 そんな風に舌で弄びながらちびゆっくりを探し、見つける度に口の中へ放り込む。 あっという間に十匹とも口の中へ。何てチョロいんだ。 「あっというまだったね!!!」 「ゆっくりするまもなかったね!!!」 そんな風に賞賛する親ゆっくり二匹。愚かな奴らだ。ゆっくりするのはこれからだというのに。 「じゃあ、ゆっくりあかちゃんをはきだしてね!!!」 ああ、吐き出してやるとも。頷いて、床に文々。新聞を広げ、二匹を両手でがっちりホールドする。 そして、口の中できゃっきゃと遊ぶちび共を一気に噛み砕く。プチプチという感触が気持ちいい。 口の中から物凄い悲鳴が聞こえる。ククク痛かろう怖かろう。 「お゛じざん゛や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「はや゛ぐだじであ゛げでね゛!!さっさとだずげであ゛げでね゛!!!」 そうかそうか吐き出して欲しいか。じゃあそうしてやろう。 新聞紙の上に噛み砕いたちび共を吐き出す。先程まで賑やかだった連中は、今や苦しみの声を上げるだけの醜い塊だ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れ゛い゛む゛の゛あ゛がぢゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ゆ゛っぐ!!ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 大変喜んでいただけたようで満足です。その後もねっとり言葉責めして反応を楽しむ。 やっぱゆっくりの活用法は食用じゃなくて愛玩用がベストだよな。 気の済むまで言葉責めする頃には、親二匹は廃人、いや廃饅頭になっていた。目は空ろで口をぱくぱくさせている。金魚みたいだ。 「じゃあこれを片付けないとな」 「ゆ゛ぶふぅっ!!?」 「ぐお゛え゛ぇ゛!!」 まだ半数くらいは息があるちびゆっくりの塊を二匹の口の中に押し込み、口を塞ぐ。 「「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」」 二匹とも物凄い勢いでもがく。さっきまでの様子が嘘みたいだ。ああ楽しい。もっと鳴いてくれ。 しばらくすると二匹ともしっかりちびゆっくり共を嚥下した。これでやる事は大体やったな。 「それじゃあ行こうか糞饅頭共」 「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ……?」 「どごに゛…どごに゛い゛ぐの゛……?」 「勿論ゆっくり加工所さ。お前らゆっくりしたいんだろ?好きなだけゆっくりさせてやるよ」 「い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!がごお゛じょはい゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「も゛う゛い゛や゛だ!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛がら゛お゛う゛ぢがえ゛る゛!!!がえ゛る゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「そんなに嬉しそうに鳴くなよ、興奮するなぁ。何か良い事でもあったのかい?」 軽薄な感じで話しかけるが、もうこちらの声など聞いていないようだ。 肩をすくめ、山菜取り用のかごに二匹を詰めて蓋をして出かける。 道中、何やらゆっくりまりさがゆっくりれいむを攻め立てていたようだ。ひどい奴だ。俺からすれば同罪なのに。 日が高くなりつつある空を見上げて、かごの中のやりとりを楽しみながらゆっくりと加工所に歩いていった。 "Repaying the kindness" is COMPLETE!! 選択肢 投票 しあわせー! (12) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (2) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/4821.html
「おい、こっちにれいむ種がいたぞ!」 「殺せ!!逃がすなっ!」 森を、怒りに満ちた声が飛び交う。 数十人の男たちが1匹のゆっくり霊夢を追いかけていた。 「ゆー!!やめてね!!れいむはゆっくりしていただけだよ!?」 ぼよんぼよん。 情けない音を鳴らしながら逃げるれいむ。 「殺せ!殺せ!!」 男たちの声が、れいむの後頭部をビリビリと震えさせる。 「ごわいぃいい!!!ゆっぐりできないぃいっ!!! ――ゆっ!?!?」 次の瞬間。 れいむの眼前に木製バットが飛び込んできた。 「ゆぴぃっ!!」 そのままバットはれいむの上半分を吹き飛ばしてしまった。 待ち構えていた男がフゥフゥと息をつく。 そして、やってしまった、といった顔に変わる。 「バカ野郎!!!何してやがんだ!!!」 ようやく追いついた男たちに、バットを振るった男は怒鳴りつけられる。 「す…すみません………!!つ、つい……!!」 「つい、で済むかバカ野郎!!急いでかたずけろ!!」 「早くしねえとまた湧いて出てくるぜ!?」 「急げ!!時間がねぇっ!!」 男の一人が辺りに飛散した餡子を指さし、別の男が手際よく回収していく。 それもかなり念入りに。 餡子が触れた部分の土は、スコップで掘ってビニル袋に入れる徹底ぶりだ。 吹き飛んだれいむの餡子はかなり多く、その後3時間に渡って回収、消毒作業が行われた。 「………昨日の件でお話が」 男は村長に深々と頭を下げた。 彼は昨日、バットでれいむを潰した男だ。 「………わかっておる。この音を聞けば、な……」 村長が、耳を塞ぐポーズをとる。 見ようによっては頭を抱えているようにも見える。 「……すみません」 小さな謝罪。 それは外から聞こえる騒音にかき消されてしまった。 二階の窓から見える地面は、赤と黒で染まっている。 ぞわぞわと、波のように動きながら。 「……堤防は大丈夫だろうな」 「はい……そちらはなんとか」 大地を埋め尽くすモノ。 それらは全て、れいむ種の赤ちゃんゆっくりだ。 村を取り囲む堤防がなければ、今頃村は赤れいむであふれかえっていたことだろう。 「ワシが子供の頃は、ゆっくりはここまで繁殖力旺盛ではなかったというのに………」 うつむいたまま、村長は呟いた。 ゆっくりには、植物型妊娠と呼ばれる出産方法がある。 自身から茎を生やし、子を成すものだ。 いつからか、ゆっくりは交尾なしでも出産するようになった。 人間による駆除活動に対抗するため、多産を強化したのかもしれない。 そして人間は、それに対抗して駆除回数を増やした。 それが原因かはわからないが、ゆっくりはさらに増殖するための能力を得た。 今の凄惨な現状がその結果だ。 「………俺が餡子をブチ撒けたせいで…………!!クッ……」 ゆっくりの体内の餡子。 これが地面に放置されると、芽が出るようになった。 ほんの少しの量でも確実に芽が出る。 その芽は周囲の大地から養分を吸い取り、わずか12時間~24時間で1メートルほどにまで成長するのだ。 もちろん、それに赤ちゃんゆっくりが成る。 1本の茎から100匹近くの赤ゆっくりが実るとも言われている。 産まれた赤ゆっくりが、潰されるか何かする。 そうするともう手の着けようがないレベルで増殖する。 大量に増えると、草や木は根こそぎ食べられてしまう。 そして茎が土の養分を吸うので、土地が枯れる。 1匹のゆっくりを撒き散らすだけで、死の大地ができてしまうのだ。 世界中のゆっくりがある日を境に究極の進化を遂げてしまった。 害獣ゆっくりとしての最終進化だ。 生殖行為を行わずとも爆発的に増え続ける究極の生命。 それから間もなく人類は滅亡した。 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2836.html
※これはドキュメント番組のような感じです ※人間は殆ど関わりません ※描写薄いです ゆっくりプライド ゆっくりは生活環境によりその住む形態も大きく違うと言う。 一般的に広く知られているのは家庭を作り、子を育てながら冬を越すというものである。 他にも蜂のように働く階級が決められており、それに沿った行動をするという群もあるという。 そこで、他の地域のゆっくりを見てみることとする。 「ゆゆ、もうすぐあかちゃんうまれるよ!」 ここにいるのはすっかり大人になりにんっしんっしたれいむ。 子供が出来たため、群から離れたと見える。 その体は下に大きく膨らんでおり、いまにも子供がでてきそうである。 「あがぢゃん!ゆっぐりうばれでぎでね!!!」 大体にんっしんっしてから10日から20日位だろう、そろそろ子供が生まれるようだ。 すぽ、すぽん、すっぽーん 「「「ゆっきゅりちていってにぇ!」」」 体の下のほうがみちみちと開き、3匹の子供が生まれた。 生まれたのはれいむが2匹とまりさが1匹。 舌っ足らずだが元気よく挨拶をしている。 「ゆっくりしていってね!」 生まれた子供に優しく挨拶をするれいむ。 ここまでは良く見る光景である。 「それじゃおかーさんはごはんをとりにいってくるからゆっくりここでまっててね!」 「「「ゆっくちわかったよ!」」」 子供が生まれてすぐだと言うのに、このれいむは狩りをするというのである。 それもそのはず、周囲は多くの小形動物が多くおり、またゆっくりの天敵と言う天敵もないのだから。 そのため安心して食事を集められ、それをすぐに消費しても問題ないのだ。 「ゆっゆっゆ〜ゆっくち〜」 「ゆっくしちようね!」 「ゆっきゅりだにぇ!」 のんびりと過ごす子供達。 親が食事をくれて、夜は皆でぐっすり寝て。 子供達は思い思いにゆっくりしたり、じゃれあいながらすくすく育ち、親と同じ位の速さで移動できるようになった。 「それじゃ、そろそろゆっくりむれへもどるよ!」 「むれ?」 「みんなのおとーさんやおともだちがいっぱいいるところだよ!」 「おとーさん!あってみたい!」 「それじゃみんなでいこうね!」 「ゆっくりいくよ!」 こうしてこの親子は自分達の群に戻る。 「ゆっくりいくよ!」とか言いつつも全力疾走で戻っていくのだ。 子供が置いてきぼりになるかと思ったが、この親子は頑張って1匹も欠ける事無く群へと戻ったようだ。 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」 お決まりの挨拶をする親子。 「まりさがむれのりーだーだよ!まりさはむれでいちばんつよいんだよ!」 「ごはんはみんながあつめておとうさんのところにもってくるんだよ!」 ここでは雄役のゆっくり1匹に対し多くの雌役ゆっくりが囲うという生活体系がある。 言い換えるならハーレムとでも言おうか。 このまりさが群の中に居る他のゆっくりをにんっしんっさせていると言う訳だ。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「「「ゆっくりしていってね!れいむたちのおとーさんもまりさなんだよ!!!」」」 この群にはとても沢山のゆっくりが集まっていた。 しかしそれでも取れる餌が多く、また他のゆっくりがすっきりしないためにそこまで爆発的な繁殖はしないようだ。 「ゆっくりしていってね!」 と、ここに来客のようだ。 やってきたのはありす種。 「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」 群のゆっくりがそれぞれ挨拶をする。 「ありすはこのむれのまりさとしょうぶしにきたのよ!」 「このまりさにいどむの?おお、むぼうむぼう」 ゆっくり同士の勝負が始まった。 とはいえその戦い方はいたってシンプル。 「ゆっくりたおれてね!ゆべっ」 「ゆっくりまけないよ!ゆびっ」 体当たりをお互い繰り返し、先に力尽きた方が負けである。 べちべちと体当たりの音が当たりに響き渡る。 周囲のゆっくり達は勝負の行方をただただ見守るばかり。 「これでとどめね!」 「ゆゆ…ゆっくりこうさんするよ……」 数十分にも及ぶ体当たり勝負の行方はありすの勝利で幕を閉じた。 「これでこのむれはありすのものね!!まけたよわいまりさはゆっくりしないでこのむれからでていってね!」 「ゆっくりわかったよ……」 群のトップは戦いを挑まれたら受けねばならず、それに負けたほうは群れを諦めなければならない。 元群のトップはすごすごと群から退散していった。 「さて、それじゃはじめないとね」 不敵な笑みを浮かべるありす。 1匹1匹の元へ挨拶をしている。 「きょうからありすがここのりーだーだからね!ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ありすの声に、群に戻ったばかりの子れいむが答える。 「あなたはあのまりさのこどもね」 「そーだよ!」 「げんきなおへんじありがと!ゆっくりつぶれてね!」 「ゆ?」 ありすが勢いよく跳躍する。 ぐちゃ。 子れいむはありすの下敷きになり、その短い生を終えた。 「ありすのこどもじゃないこはゆっくりでてきてね!」 この群では、群のリーダー以外の子供のゆっくりは全て潰されるのだ。 今回のようにリーダーが変わった場合は、子ゆっくり全てが殺されるという大虐殺が行われる。 「ゆわぁぁぁぁん!おがぁざぁぁぁぁぁん!!!!」 「どぼじでばりざをづぶずのぉぉぉぉ」 「ゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃ」 次々と潰され、その度にありすに暴言を吐く子ゆっくり達。 「まりさがたおされたからしかたないよ、ゆっくりりかいしてね…」 「ちびちゃんのぶんまでゆっくりするからね…」 一方で悲しそうな目を向ける母親ゆっくり。 群の法則故致し方ないのだ。 そしてこのアリスは全ての子ゆっくりを完膚なきまで潰した後に、他のゆっくりに種付けを行う事になる。 そうする事で群を維持していく事になるのだからだ。 「ゆゆぅ…」 戦いに敗れたまりさは他の群を探す為に一人寂しく放浪する事になる。 元々雌役が狩りを行うこの場所において、雄役が生き残るには一刻も早く群を見つけてリーダーになるしかないのだ。 雄役は強くてなんぼなのだ、狩りが出来る出来ないはここでは関係ない。 そしてあまり虫を食べる事無く、お腹を空かせたまま遠くまで来てしまったようである。 「おなかへったよ…」 疲労困憊の上空腹となったまりさ。 「ゆぅ…あそこにおいしそうなものがはえてるよ…」 ふらふらと目に見える美味しそうなものに向かっている。 そこには何やら立て札があり、規則正しく作物ができていた。 そう、このまりさは人間の住処までやってきたのだ。 そして本能の赴くまま野菜に噛り付く。 「うめっ!めっちゃうめっ!」 その美味しさに一気に活力がみなぎってくるのをまりさは感じているのだろう。 一心不乱に野菜を貪っている。 元気になったらどこかの群を奪ってここを群の根城にしよう、なんて考えさえこのまりさには沸いてきているのかもしれない。 と― 「やれやれ…」 この畑の持ち主である男が現れる。 ゆっくりは普段はこの辺りまで来る事はないものの、時折こういったことがあるらしい。 男はまりさを摘み上げる。 「ゆ!しょくじをじゃましないでね!ゆっくりごはんをたべてるんだよ!」 「…これだから『害獣の王』とか呼ばれるんだよなぁ」 自らの要求を通そうとするまりさを、男は地面に思いっきり叩きつける。 べちゃ、という音と元々持っていたであろう訳の分からないプライドと共にまりさは物言わぬ塊と化した。 この地域ではゆっくりに『害獣の王』という不名誉な二つ名があるようだ。 場所や環境により、ゆっくりの生活方法は様々のようだ。 違う環境のゆっくりを取り替えて群に放り込んで見るのも面白いかもしれない。 生活に馴染むのか、それとも争いが起こりのけものにされるのか、はたまた群の仕組みを変えるだけの事が起こってしまうのか… 何にせよ、これだけいじるのに向いた存在もそうそう居ないだろう。 ※この番組では、様々な生活体系をもったゆっくりの情報を募集しております。 採用された方には― 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「だってよ」 「ふーん」 TVを見ながら会話をする2人の男性は酒のつまみに子ゆっくりを口に入れていた。 「全く持って不可思議な奴らだ」 「ま、話のタネ位にはなるかもな」 男達は今日も仕事帰りの疲れをゆっくりと癒すのだった。 あとがき 名前を今まで決めてませんでしたが、ムラッけ木槌と名乗る事にします。 ここでいうプライドはライオンの群(プライド)の見立てとまりさのズタズタに引き裂かれたプライドの事です。 周辺に天敵が居ないっていう設定はよく見ますがそこをライオンのそれに置き換えてみて… そしたらゆっくりできない逃れの同属殺しがあったものです。 ライオンに関わらず同属殺しの麗は多いですしね、ハムスターとか。 今まで書いたもの 博麗神社にて。 炎のゆっくり ゆっくりを育てたら。 ありす育ての名まりさ 長生きドスの群 メガゆっくり ゆっくり畑 益ゆっくりと害ゆっくり ゲスの行き着く先 つかれたまりさ 噂・ゲスの宿命 ゆっくりすること 決断 くっつくよ!!! ゆっくり勝負